「ドロップ」ってどういう意味?

ドロップといっても甘いアメのことではありません。新薬候補の開発が、何らかの原因で開発中止になることを「ドロップ」するといいます。臨床試験に至る前にドロップすることもあれば、臨床試験の最終段階の試験でドロップすることもあります。

今も昔も、新薬開発はうまくいくより圧倒的に失敗する確率のほうが高いです。しかし、多くの疾患の治療法が確立され、残っているのはアルツハイマー病などの治療薬がない難病ばかりという状況を考えると、ドロップする確率は増えていきそうな感じです。

ドロップの一番の原因は、昔は副作用ということが多かったのですが、最近は効果が示さない、つまり薬が効かないという結果でのドロップのほうが圧倒的に耳に入ってきます。副作用にしろ有効性にしろ、動物実験で得られるデータには限界があるので、実際に臨床試験に入るまでは成功するかどうかはわかりません。

このような現状を変えるために、今の薬作りの考え方・方法論を考え直さなくてはいけないと、業界の人はみんな考えています。おそらく、一つの会社だけでは何も変えることはできないのではないかと思います。国内・海外の製薬会社が連携した取り組みを行う時代になっています。