アフタッチ(トリアムシノロン)とはどんな薬?

アフタッチ(帝人ファーマ、主成分トリアムシノロン)は、アフタ性口内炎の治療薬です。

アフタッチは、強い抗炎症作用を持つトリアムシノロンを含んだ貼り薬で、口内炎ができた部位に直接貼り付けて、薬剤を直接届けることで炎症を和らげ、速やかに症状を改善します。

アフタッチが用いられるアフタ性口内炎は、口内炎の部位に白い潰瘍(アフタ)ができる病気です。ストレスが貯まると起こりやすく、アフタがある部分に食べ物が当たると鋭い痛みを起こします。

アフタッチは、このアフタの上に貼り付けて用いる口内炎治療薬です。

アフタッチの主成分は、強い抗炎症作用を持つステロイドの一種「トリアムシノロン」で、炎症に関与するさまざまな遺伝子の働きを調節し、炎症を止める報告に免疫細胞を変化させます。

例えば、トリアムシノロンは、炎症反応に関わるプロスタグランジンの産生を止めて炎症の症状を改善します。また、免疫細胞を活性化する働きをもつサイトカインというタンパク質の産生をとめて、炎症が広がるのを防ぎます。

アフタッチの特徴は、口内炎の部位に薬剤を直接貼り付けられるという点です)「アフタッチ」という名前は、薬剤をアフタに付ける(接触する)、という意味があります。

主成分のトリアムシノロンアセトニドがアフタの上に直接接触するため、確実にアフタに薬を届けることができます。また、アフタッチは、アフタの上に覆いかぶさることによって、食べ物がアフタに触れるのを防ぐため、口内炎の痛みを起こりにくくします。

もともと、口内炎治療薬は軟膏タイプが多かった(「ケナログ」など)のですが、軟膏タイプでは、食事などをすると、薬がすぐになくなってしまうという欠点がありました。そこで、より長く口の中に薬を残そうとして考え出されたのがアフタッチです。

アフタッチは、主成分のトリアムシノロンアセトニドと、口の中に錠剤を貼り付けるためのヒドロキシプロピルセルロースでできています。

アフタッチを口の中に張りつけると、主成分は口内炎の部分にしみこんでいきます。一方、錠剤自体は、唾液によってゆっくりと解けていきます。そして、薬物を吸収するのに十分な時間がたつと、錠剤はとけ切ってしまって唾液と共に体内に吸収されるので、アフタッチをはがすという操作は必要ありません。

アフタッチのように、薬剤を決まった場所に届けるための工夫をドラッグ・デリバリー・システム(DDS; Drug Delivery System)と呼びます。薬の製品としての形(例えば錠剤とかカプセル剤とか粉薬)を剤形といいますが、剤形の工夫もDDSの一つで、より長く作用する薬や、特定の場所に選択的に作用する薬などが作れます。DDSは、よく効く薬をさらにパワーアップさせる魔法の道具です。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


アフタッチ(トリアムシノロンアセトニド)の構造式の構造式