ボルテックスミキサーの使い方・原理・注意点

最終更新:

ボルテックスミキサー(試験管ミキサー)は、試薬を液体に溶かしたり、液を均一にしたいときに使う実験器具です。「ボルテックス(vortex)」とは、「(水・空気などの)渦巻き;旋風」という意味があり、その名の通り、試験管やチューブの底を、回転するアタッチメントに押し当てて、中の液体を渦巻き状に素早く撹拌(かくはん)して混ぜることができます。実験室では、このような撹拌操作を「ボルテックスをかける」と呼びます。

ちなみに、英語のvortexは、ラテン語のvortex(渦)をそのまま取り入れた言葉で、元をたどると「回転させる」を意味するvertereにつながります。

ボルテックスミキサー

仕組み(原理)

ボルテックスミキサーの原理はこんな感じです。スイッチをいれると、上に突き出た黒い部分(写真;アタッチメントと呼びます)が高速で回転します。アタッチメントに試験管やプラスチックチューブの底を当てると、試験管やプラスチックチューブに回転運動が伝わり、中にある液体が渦を巻いて回転します。

使い方

チューブの胴の部分をしっかり持ち、少し斜めにして、アタッチメントにしっかり押し当てます。チューブの上の端を持つと、弾き飛ばされることがあるので、胴を持ちます。

押し当てている間だけ回る「タッチ式」で使うのが基本です。何本も続けて混ぜるときや、しっかり混ぜたいときは、回しっぱなしにします。

回転の速さは、状況によって変えます。泡立つものはゆっくり、粉を液体に溶かすときは速くします。

試薬に水や緩衝液を加え、ボルテックスミキサーで激しく撹拌することで、試薬を速やかに溶かし、均一にすることができます。ふつうの溶解なら、30秒ほど回せば溶けます。溶けにくい試薬の場合は、2-3分ボルテックスをかけることもあります。高速回転による振動が手に伝わると、マッサージ機を当てているような感じで、気持ちがいいです。ただ50本、100本の試験管にひたすらボルテックスをかけると、手がしびれてしまって大変です。

使うときの注意点

タンパク質が溶けている溶液は、速く回すと泡が発生し、この泡によりタンパク質が傷むことがあります。そのため、基本は、ゆっくり転倒混和したり、ピペッティングで混ぜます。酵素反応をするときなどは、低速でボルテックスをかけます。メーカーの手順書にも、酵素を使う反応液は「ゆるくボルテックスをかける(gently vortex)」と書かれているものがあります。

また、回転が速すぎると、液が飛んだり、蓋が緩んだりすることがあります。チューブをしっかり持っていないと、チューブが回転の勢いで手から飛んでいってしまうこともあります。

参考:Thermo Fisher Scientific「Taq DNA Polymerase (recombinant)」製品説明書(英語、PDF)/Online Etymology Dictionary「vortex」