ムコスタ | 病院でもらった薬の値段TOP

ムコスタ
(レバミピド)

「特効薬」という言葉があります。特効薬という言葉は、「ある病気に対して、この薬があればOK」というイメージを与えます。しかし、実際にはそんな都合の良いことはありません。

 生体の調節機構は、ある一定のバランスのもとに、様々なタンパク質、生理活性物質が働くことで維持されています。病気は、この調節機構(ホメオスタシスといいます)に変化が生じ、生体のコントロールがうまく行かなくなった状態です。薬は、調節機能に関与する物質を変化させ、ホメオスタシスを回復させる働きを持ちます、ただし、ホメオスタシスに関与する分子は多数あるため、その中の一つだけをいじっただけでは、完全に調節機構を回復することはできません。そのため、足りない部分を治すためには、他の調節物質について作用する別のメカニズムの薬が必要です。つまり、特効薬というものはなかなか作ることはできず、様々なメカニズムを有する様々な薬が登場することになります。

 例として、胃潰瘍を取り上げます。胃潰瘍は、胃液(胃酸)分泌に関わる調節機能が障害されて起こります。健康なときは、胃酸分泌と胃の表面を覆う粘液のバランスがとれており、胃の中では食物だけが消化されます。ここで、胃酸分泌が過剰になる、もしくは粘液による防御機構が弱まる、のような変化が起こると、胃酸は自分の胃を消化し、胃潰瘍が発症します。

 胃液分泌にかかわる分子は、大きく分けて3種類挙げられます。ヒスタミン受容体(H2受容体)、プロトンポンプ、プロスタグランジンです。H2受容体、プロトンポンプはいずれも胃酸分泌に関与します。一方、プロスタグランジンは、粘液による防御機構に関与します。

 今回取り上げるムコスタ(主成分 レバミピド、100mg錠 17.4円)は、プロスタグランジンの産生を促進させることで胃を胃酸から守ります。ムコスタは、胃酸分泌には影響を与えず、防御機構を回復させることで胃潰瘍を治療します。

 実は、ムコスタができる前には、胃酸分泌に関与する分子は、ヒスタミン、アセチルコリン程度しか認められておらず、その他の物質の関与は知られていませんでした。そこで、ムコスタの開発チームは、ヒスタミン、アセチルコリン以外の調節機構が生体内にあると考え、その未知の機構を探るために、以下のような手段をとりました。

 ラットの胃の中に酢酸を投与すると胃潰瘍が起こります。この胃潰瘍モデル動物において治療効果を持つ化合物を探したのです。胃潰瘍は治すが、そのメカニズムは分かっていないという化合物を見つけ出し、後でそのメカニズムを解明するという発想です。

 ムコスタの場合は、その後の研究により、プロスタグランジンの胃粘膜保護作用を持つことがわかりました。プロスタグランジン産生による胃潰瘍治療薬は、ムコスタが世界初でした。

 生体の調節機能には、未だに分かっていない部分が沢山あります。調節機能の研究から薬が生まれることもあれば、薬が調節機能をみつけるきっかけともなることもあります。というわけで、これからも、一つの病気に対し、様々なメカニズムをもつ薬剤が見つけられていくと思います。


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構造式

レバミピド


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