エビリファイ| 病院でもらった薬の値段Part2


エビリファイ
(アリピプラゾール)
エビリファイ(大塚製薬、主成分アリピプラゾール、薬価 3mg錠 = 94.4円)は、統合失調症の治療に用いられる薬(抗精神病薬)です。エビリファイは、幻覚や妄想などの陽性症状(精神活動の亢進)を改善します。また、エビリファイは、感情を外に出さない、などの陰性症状(精神活動の抑制)についても改善します。

エビリファイは、これまでにない新しいメカニズムをもつ抗精神病薬です。エビリファイは、精神活動をコントロールする神経伝達物質ドーパミンの働きを調節する薬なので、エビリファイのことをドーパミン・システム・スタビライザー(ドーパミン系システムの安定化薬)と呼ぶことがあります。これまでの抗精神病薬も、ドーパミン系の働きを強く抑制する作用を持っているのですが、エビリファイは、ドーパミン系の働きをただ抑制するのではなく、ドーパミン系をちょうどよい具合にコントロールできるという特徴を持ちます。

脳内にあるドーパミン系神経では、神経細胞から放出されたドーパミンが、他の神経細胞の表面にあるドーパミン受容体というタンパク質に結合することで、神経細胞のスイッチをONにして神経にシグナルを与え、精神活動を制御しています。統合失調症の陽性症状では、このドーパミン系神経の活動が亢進しているため、幻覚や妄想などの、さまざまな異常感覚を感じる、と考えられています。また、陰性症状では、ドーパミン系の作用が低下しているとされています。

これまでの抗精神病薬であるセレネース(主成分ハロペリドール)やジブレキサ(主成分オランザピン)は、脳内のドーパミンの働きを強く抑制することで統合失調症の陽性症状を抑えます。これらの薬は、ドーパミン系の働きが低下する陰性症状を改善することはできません。

セレネースやジプレキサは、ドーパミンアンタゴニスト、と呼ばれている薬です。ドーパミンアンタゴニストとは、ドーパミン受容体に結合はするけれども、神経のスイッチをONにすることはできません。ドーパミンの代わりにドーパミンアンタゴニストがドーパミン受容体にくっつけば、ドーパミンによる神経活動は完全に抑えられます(スイッチOFFの状態)。

しかし、ドーパミンの働きを抑えると、都合が悪いこともあります。というのも、ドーパミンは、体の運動をコントロールする大事な作用を持っているからです。

パーキンソン病という運動障害を起こす病気があるのですが、この病気の原因はドーパミン系の神経の働きの低下、だと考えられています。このことから、ドーパミンアンタゴニストを飲みつづけると、パーキンソン病に似た運動障害が起こる、ということになります。実際、抗精神病薬の副作用として、このような症状が認められます。精神症状は治ったけど、運動障害が起こるのでは、何にもなりません。そのため、ドーパミンアンタゴニストを使うには注意が必要でした。

この状況を打破したのが、エビリファイです。エビリファイは、ドーパミンの働きを抑えるのですが、単なるドーパミンアンタゴニストではありません。エビリファイは、ドーパミンパーシャルアゴニストと呼ばれるタイプの薬です。

ドーパミンアゴニストとは、ドーパミンのようにドーパミン受容体に結合して、神経細胞のスイッチをONにすることができる薬です。それに対し、エビリファイのようなドーパミンパーシャルアゴニストは、スイッチはONにできるのだけれども、ドーパミンよりは弱い作用しか示さない薬です。たとえば、ドーパミンアゴニストであるドーパミンの最大作用を100%とすると、ドーパミンパーシャルアゴニストであるエビリファイの最大作用は、30-40%程度と実験で求められています。

つまりドーパミンのかわりにエビリファイがドーパミン受容体に結合すると、ドーパミンの作用を減少させるのですが、ドーパミンアンタゴニストのように、完全にドーパミンの作用をなくす(スイッチOFFにする)わけではありません。そのため、ドーパミン系の作用低下による運動障害などの副作用を起こす可能性は低くなります。また、ドーパミン系の作用がある程度残ることから、ドーパミン系の活動低下が原因と考えられる陰性症状も改善させることができることにもなります。

エビリファイのようなパーシャルアゴニストは、いわゆる「さじ加減」を薬の側から実現したものです。体への作用が強すぎず、弱すぎず、ちょうどよいところに落ち着かせる、という性格の薬です。強力な薬を、医師の微妙なさじ加減でうまく使う、という姿は、もしかするとこれから変わっていくかもしれませんね。

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エビリファイ(アリピプラゾール)の構造式

エビリファイ(アリピプラゾール)の構造式

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