ウルソ| 病院でもらった薬の値段Part2


ウルソ
(ウルソデオキシコール酸)
 ウルソ(田辺三菱製薬、主成分ウルソデオキシコール酸、薬価 50mg 錠 = 8.8円)は、肝臓から分泌される胆汁の量を増やしたり、胆汁が通る胆管の中にできる胆石を溶かしたりするための薬です。また、ウルソは胆汁が流れにくくなって生じる肝臓の機能低下を改善するためにも使われます。

胆汁は、肝臓で合成され、胆のう、胆管を介して、十二指腸に分泌されます。胆汁は、主に脂肪分を消化するために使われており、胆汁の中の胆汁酸が脂肪分を溶かす作用を持っています。

ウルソは、熊の胆のうから作られた生薬(熊胆;ユータン)の成分で、ヒトの体内にある胆汁酸とよく似た構造をしています。ウルソや胆汁酸は、油を水になじませる作用(界面活性作用)を持っています。この界面活性作用により、ウルソや胆汁酸は、食物に含まれる脂肪分を「ミセル」という油滴に変化させます。ウルソや胆汁酸は、適度なミセルを作ることで、食物からの脂肪分を適度に吸収されるようにしています。

胆汁酸は、脂分を溶かす作用があるのですが、これは細胞にとっては都合が悪い性質でもあります。細胞の表面は脂分でできた細胞膜に覆われているので、細胞が胆汁酸にさらされると、細胞膜が傷つきダメージを受けてしまいます。肝臓から胆汁が流れにくくなる状態では、胆汁酸が肝臓にたまり、肝臓の細胞に傷害を与え、肝臓の機能が悪くなってしまいます。

そこで、ウルソの登場です。
ウルソは腸から吸収され、肝臓へと運ばれ、胆管、胆のうを介して十二指腸へと分泌されます。そして、ウルソは再び腸から吸収され、肝臓へと運ばれます。ウルソは、通常の胆汁酸に比べて界面活性作用が弱いことが知られてるので、ウルソが肝臓に届けば、胆汁酸の界面活性作用が弱まるので、肝臓の細胞を傷害から守ることができます。

また、ウルソは肝臓から胆汁と共に腸へと分泌されます。そして、ウルソが腸に達すると、再び吸収されて肝臓へと運ばれます。つまり、ウルソは腸と肝臓の間をぐるぐると回っているわけです。このようなウルソの振る舞いを「腸肝循環」と呼んでいます。ウルソを繰り返し服用すると、ウルソがどんどん腸肝循環に取り込まれていくので、胆汁中のウルソの割合がどんどん増えていき、ウルソの肝臓保護作用が強くなっていくのです。また、ウルソが増えることによって、胆石が溶けやすくなるという効果もでますし、ウルソがもつ胆汁増加作用によって、肝臓の中の胆汁酸をどんどん排出することができます。

最近では、ウルソは今まで述べたメカニズムによる肝臓の保護だけでなく、肝臓の免疫力を挙げる働きがあることもわかってきました。現在、ウルソを用いたC型肝炎の治療の研究も行われています。ウルソは、その名前(ラテン語で熊(ウルサス))にふさわしく、肝臓の治療薬として力強く前進しているのです。





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ウルソ(ウルソデオキシコール酸)の構造式
ウルソ(ウルソデオキシコール酸)の構造式


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