メプチン(塩酸プロカテロール)とはどんな薬?

メプチン(大塚製薬、主成分塩酸プロカテロール)は、気管支喘息や、風邪に引き続いて起こる気管支炎の治療に用いられる薬です。メプチンは、喘息や気管支炎のときに起こる息苦しさ(呼吸困難)を改善します。

喘息や気管支炎のときには、気管支の筋肉が何らかの原因で収縮して気管支が狭くなり、空気が通りにくくなって呼吸がしにくくなります。メプチンは、収縮した気管支を緩める作用をもっています。

メプチンは、体内に入ると、気管支の筋肉にあるβ2アドレナリン受容体というタンパク質に結合します。このβ2アドレナリン受容体は、気管支の筋肉を緩めるシグナルを出す働きを持っています。

メプチンがβ2アドレナリン受容体に結合すると、この受容体タンパクが活性化されて、筋肉を緩めるためのシグナルを発します。そして、メプチンによりスイッチが入った気管支の筋肉は緩み、そのため気管支が広がります。このようにして、メプチンは、気管支が狭くなって起こる息苦しさを解消します。

さて、β2アドレナリン受容体は、気管支の筋肉以外にも、いろいろな臓器に存在します。それぞれの臓器で、?2アドレナリン受容体は、その臓器の働きをコントロールするシグナルを出す働きがあります。このため、メプチンのようなβ2アドレナリン受容体を活性化させる薬は、いろいろな副作用を持つと考えられます。

この副作用のなかで、比較的よく現れるのが、手足のふるえ(振戦)です。メプチンの臨床試験および市販後の副作用調査では、約2%の人に振戦が生じているとのことです(メプチンのインタビューフォームより)。

私の周りでもこの副作用を体験した人がいます。メプチンを飲んで1時間ほどすると、手先がぶるぶるふるえ、物をつかむことができなくなりました。そのあと、歩こうと思ってもまっすぐ歩けず、へたり込んでしまいました。この症状はメプチンを飲んで1ー2時間の間に生じ、その後速やかに消失しました。

手足の運動をコントロールする筋肉を骨格筋と呼ぶのですが、この骨格筋にはβ2アドレナリン受容体が存在します。骨格筋のβ2アドレナリン受容体は、骨格筋を収縮させるシグナルを出す働きを持っています。そのために、メプチンを飲むと、骨格筋が自分の意思と関係なく収縮するので、手足がふるえるのです。

メプチンによる手足のふるえは、起こる確率が比較的高い副作用です。また、メプチンと同じような作用メカニズムをもつ他の薬でも起こることがあります。もし、風邪で息苦しいときに病院でもらった薬を飲んで震えがきたときには、今回取り上げた副作用が起こっている可能性があります。薬局で薬をもらうときに、薬剤師さんから副作用の説明を受けるとは思いますが、念のため、頭の中にこのような副作用があることを頭に入れておくといいかもしれません。

メプチン(塩酸プロカテロール)の構造式