アクテムラ(トシリズマブ)とはどんな薬?

アクテムラ(中外製薬、主成分トシリズマブ(遺伝子組換え))は、関節リウマチの治療薬ですが、もともとはキャッスルマン病と呼ばれる病気の治療薬として開発されました。

キャッスルマン病は、体内の免疫に関係する器官であるリンパ節が腫れてさまざまな身体以上を引き起こす病気です。症状としては、だるさや発熱、食欲不振、体重減少、発疹、貧血などが見られるのですが、アクテムラが使われるようになるまでは治療薬が存在しませんでした。

アクテムラの開発は、大阪大学の研究者たちが、IL6という体内で免疫反応を引き起こすサイトカインと呼ばれるタンパク質に注目したことから始まりました。キャッスルマン病の患者さんではこのIL6が大量に産生されて、免疫が亢進した状態が続き、いわば風邪のような状態がずっと続くことがわかったのです。

そこでこのIL6の働きを止めてやれば、症状が治まるだろうというアイデアのもと生み出されたのがアクテムラです。アクテムラは、抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体と呼ばれるタンパク質でありIL6の働きを止める作用があります。

IL6は、細胞の表面になるIL6レセプターというタンパク質に結合して、これを活性化させることで作用を示します。アクテムラは、このIL6レセプターに強く結合する能力を持っています。アクテムラが細胞表面のIL6レセプターをふさいでしまうとIL6がIL6レセプターに結合できなくなるので、アクテムラを使用することでIL6によって起こる症状が治まるというわけです。

アクテムラはキャッスルマン病の治療薬としてこの世に出ましたが、アクテムラの本当のターゲットとする病気は関節リウマチでした。関節リウマチにおいても、IL6がさまざまな症状に関与することがわかっています。アクテムラの関節リウマチに対する効果を確認するための臨床試験が様々な国で行われた結果、良好な結果が得られたことから、アメリカ、ヨーロッパ、日本で承認され、現在では臨床現場で使われています。

アクテムラは、抗体と呼ばれる種類のタンパク質で、遺伝子組換え技術を用いて作られました。抗体はターゲットとするタンパク質(主に免疫に関係するタンパク質)に選択的にくっつく性質があるため、この性質を用いることで、抗体は様々な免疫関係の病気の治療薬として使われるようになってきました。関節リウマチに対しても、さまざまな抗体が治療薬として開発されています。これらの中で、日本生まれのアクテムラがどれだけの実力を発揮するか、見ものです。