オルメテック(オルメサルタン メドキソミル)とはどんな薬?

オルメテック(第一三共、主成分オルメサルタン メドキソミル)は、高血圧の治療に用いられる薬です。高血圧は心臓病や脳血管障害などの様々な病気の元となるため、オルメテックなどの降圧剤は、現在大変に重要な薬となっています。

高血圧の患者さんには、さまざまな降圧剤が用いられているのですが、オルメテックは、そのなかでもアンギオテンシンII受容体拮抗薬、と呼ばれるタイプの薬です。アンギオテンシンII受容体拮抗薬には、オルメテックの他にも、ブロプレスやニューロタン、ディオバンなんていう薬もあります。オルメテックは、ブロプレスとともに、日本生まれ&日本を代表するアンギオテンシンII受容体拮抗薬です。

オルメテックの標的分子であるアンギオテンシンII受容体は、主に血管の筋肉に存在するタンパク質です。アンギオテンシンII受容体は、アンギオテンシンIIというタンパクが結合することで活性化され、血管を収縮させるのに必要な信号を発します。すると、血管の筋肉が収縮して血圧が上昇します。オルメテックは、このアンギオテンシンII受容体に強く結合し、しかも活性化させる作用は持っていない(これを拮抗作用といいます)という特徴を持ちます。

オルメテックを飲んで血液内に吸収されると、オルメテックは血管の筋肉のアンギオテンシンII受容体のところまでたどり着き、アンギオテンシンII受容体に結合します。

オルメテックのアンギオテンシンII受容体への結合力は強力なので、アンギオテンシンIIがアンギオテンシンII受容体に結合しようとしても、オルメテックが離れないため結合することができません。オルメテックは、アンギオテンシンII受容体を活性化する作用をもたないので、アンギオテンシンIIによる血管の収縮作用は低下することになり、そのために血圧が下がるのです。

オルメテックを発見するために行われた実験は泥臭いものだったようです。ネズミさんにアンギオテンシンIIを注射すると血圧が上がるのですが、このとき薬の候補化合物を同時に注射して、血圧を下げる化合物を探したのです。一匹一匹、注射を続けていく光景は、とても地味なものですが、これは薬の作用を確認するためには一番確実な方法でした。

現在では、細胞やタンパク質を材料にしたスマート?な実験で薬を探すことが多いのですが、なかなか良いものは見つからないようです。やはり、手間を惜しんでいては、良い薬を見つけることはできないのだと思います。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


オルメテック(オルメサルタン メドキソミル)の構造式