ペンタサ(メサラジン)とはどんな薬?

ペンタサ(杏林製薬、主成分メサラジン)は、潰瘍性大腸炎・クローン病の治療薬です。潰瘍性大腸炎では大腸、クローン病では小腸から大腸に原因不明の炎症が起こって下痢や腹痛が起こり、ひどい場合には腸が機能しなくなって摘出が必要になることもあります。主成分のメサラジンは腸の粘膜に直接働きかけ、炎症に関わるブリーラジカルやロイコトリエンなどのさまざまな物質の産生をとめて、潰瘍性大腸炎やクローン病の症状を改善します。

目次

ペンタサの作用メカニズム

潰瘍性大腸炎とクローン病は、いずれも免疫異常により腸に炎症が起こる病気で、炎症性腸疾患と呼ばれます。潰瘍性大腸炎では、大腸に、クローン病では小腸から大腸にわたる広い範囲に炎症が起こり、症状の悪化と回復(再発と寛解)を繰り返します。

消化管粘膜の炎症は激しい下痢や血便が生じ、日常生活に悪影響を与えます。重症になると腸からの栄養吸収ができなくなって全身状態が悪くなるます。腸に潰瘍や穿孔(帳に穴が開く)が起こると、手術によって腸を切除することもあります。

ペンタサの主成分であるメサラジン(5-アミノサリチル酸、5-ASAとも呼びます)は、腸の炎症で粘膜細胞を傷つけるさまざまな分子の働きを弱める作用を持ちます。

炎症が起こる部位には白血球(好中球)が集まり、細胞傷害性をもつ活性酸素(フリーラジカル)を放出します。活性酸素は、本来は外敵である細菌を攻撃するものですが、腸の粘膜に働くと細胞を傷害し、組織に出血や潰瘍を起こします。また白血球は、炎症反応を悪化させるロイコトリエンという生体内物質を産生します。

メサラジンは、活性酸素と結びついて無害化し、粘膜細胞の傷害作用を消去します。また、白血球などの免疫細胞からのロイコトリエンやそれ以外の炎症関連物質(ヒスタミンやサイトカイン)の分泌を低下させます。これらの作用が合わさることで、ペンタサは炎症性腸疾患の炎症を改善します。


メサラジンはどうやって見つかった?

ペンタサの主成分であるメサラジンは、関節リウマチ治療薬として用いられていたサラゾスルファピリジンという薬剤が、潰瘍性大腸炎に対しても効果を示すことが発見されたことをきっかけに見出されました。

サラゾスルファピリジンは潰瘍性大腸炎の治療薬とした使用されていましたが、高い頻度で胃炎などの副作用が起こることが問題となりました。この副作用の原因を調べるなかで、メサラジンが見出されたのです。

サラゾスルファピリジンは、腸内細菌によってメサラジンとスルファピリジンに分解されます。この2つの化合物の中で、潰瘍性大腸炎に効果をしめすのがメサラジン、副作用の原因となるのがスルファピリジンだったのです。

ということは、メサラジンだけを薬にすれば副作用が減らせる、というアイデアで開発されたのがペンタサです。

ただし、メサラジンをそのまま服用すると、胃で吸収されてしまって、炎症部位である小腸や大腸まで届きません。そこで、ペンタサでは、ゆっくり溶ける錠剤(「経口放出調節製剤」)を用い、錠剤が胃を通り過ぎた後で、メサラジンが小腸や大腸にまんべんなく届くように工夫をしています。


ペンタサ(メサラジン)の構造式