レスプレン(主成分塩酸エプラジノン)とはどんな薬?

レスプレン(中外製薬、主成分塩酸エプラジノン)は、風邪や喘息、気管支炎や肺炎などで起きる、痰や咳(せき)の症状を鎮めるための薬です。レスプレンは、痰をやわらかくして吐き出させやすくするという作用と、咳を止める作用とを持っています。

レスプレンの痰をやわらかくするメカニズムは以下のとおりです。痰の粘り気は、痰の中に含まれる酸性ムコ多糖類という繊維状の物質と気管の細胞から出て来たDNA(DNAも線維状の物質です)とによって生じます。痰のなかで、これらの繊維状の物質がからまりあうことで、痰はねばねばした粘り気を持つようになります。レスプレンは、この酸性ムコ多糖類やDNAを細かく分解する作用があります、レスプレンによって、繊維状の物質がほぐれることにより、痰の粘り気の原因となる物質は少なくなり、痰はさらさらになります。

また、レスプレンは気管の細胞からの分泌液を増やす働きも持っています。レスプレンによって痰の中の水分の量が増えることで、痰が水っぽくなり粘り気が減ります。

このような二つのメカニズムにより、痰が柔らかくなって、痰を外にだしやすくなるのです。

次に、レスプレンの咳を止めるメカニズムなのですが、この作用は、レスプレンが気管ではなく脳に働きかけることで起こります。

気管に痰などの異物があると、気管は神経を介して信号を脳におくり、脳の中にある、咳をする命令を出す部分(咳中枢)のスイッチをONにします。すると、咳を出すための筋肉を収縮させる信号が咳中枢から出て、咳がおこります。レスプレンは、この咳中枢の働きを弱めることで、咳が出るのを抑えます。

咳は、気道にある異物を外に出すために必要な機能ですが、あまりにひどい咳は患者さんの体力を消耗させてしまい、かえって苦痛を与えます。レスプレンは、咳を止めるとともに、咳の原因となる粘り気のある痰を出しやすくすることで咳の回数を減らす。という一挙両得の働きをもっている薬です。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


レスプレン(主成分塩酸エプラジノン)の構造式