ゾメタ(ゾレドロン酸水和物)とはどんな薬?

ゾメタ(ノバルティスファーマ,主成分ゾレドロン酸水和物)は、多発性骨髄腫や全身の悪性腫瘍(がん)で起こる高カルシウム血症の治療薬です。これらのがんでは、骨を溶かす破骨細胞が活発になり、骨からカルシウムが血液に溶けだして、さまざまな身体症状を起こします。

ゾメタの主成分であるゾレドロン酸は、破骨細胞の働きを低下させ、骨からのカルシウム流出を止めて、高カルシウム血症を改善します。

目次

ゾメタが使われる「がんによる高カルシウム血症」とは?

がんが引き起こす全身症状の一つに、骨の材料であるカルシウムが血液中に溶け出して起こる高カルシウム血症があります。カルシウムは生体機能に欠かせませんが、量が多すぎるとさまざまな身体症状を起こします。

急激なカルシウム量の上昇は、吐き気や食欲不振、重症時は意識消失などの中枢症状を起こします。また、高カルシウム血症が長期間続くと、腎臓にカルシウムが蓄積して腎機能が低下する腎不全となり、全身状態の悪化を招きます。そのため、ゾメタのような薬剤による治療が必要です。

がんによる高カルシウム血症は、がん細胞が骨を溶かす破骨細胞の働きを高める物質を出すために起こります。例えば、多発性骨髄腫という血液がんでは、血液を作る部位である骨髄にできたがん細胞が、破骨細胞数を増やすタンパク質を分泌します。また、肺がんや膀胱がんでは、がん細胞が副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyroid hormone-related protein-;PTHrP)というタンパク質を分泌します。

これらのタンパク質により破骨細胞が活性化し、骨からカルシウムが血液に溶け出すと、高カルシウム血症が起こります。ゾメタは破骨細胞に作用して、骨が溶けないようにします。


ゾメタの作用メカニズム

ゾメタの主成分であるゾレドロン酸は、破骨細胞の働きを止めたり数を減らして、骨を溶かす作用を低下させます。

破骨細胞の活性化や生存維持には、ゲラニルゲラニル2リン酸という化合物が生体内で合成されなくてはいけません。この化合物は、破骨細胞を活性化させたり、細胞がアポトーシス(細胞の自殺)しないための歯止めとしての役割を果たします。

ゾレドロン酸は,ゲラニルゲラニル2リン酸の材料となるファルネシル2リン酸を作る酵素タンパク質「ファルネシル2リン酸合成酵素」の働きを止めます。その結果,破骨細胞は活性化せず、アポトーシスの歯止めが外れて、自分から細胞死を起こします。

ゾメタを投薬することで、破骨細胞の数が減ったり活性化が抑制されることから、血液へのカルシウムの溶け出す量が減り、高カルシウム血症が改善するのです。

ゾメタの主成分であるゾレドロン酸は、その構造からビスホスホネートとよばれるタイプに分類されます。ビスホスホネートは、共通して破骨細胞の働きを抑制し、骨からのカルシウム流出を止めます。そのため、ビスホスホネートは、骨の量が減って骨折しやすくなる骨粗鬆症の治療薬として用いられています。

しかし、がんによる高カルシウム血症は、破骨細胞の活性化が非常に強く、骨粗鬆症治療薬では対応しきれません。そこで、ビスホスホネート製剤の中でも、最も破骨細胞抑制の能力が高いとされるゾメタが使用されます。


ゾメタ(ゾレドロン酸)の構造式