アラバ(レフルノミド)とはどんな薬?

アラバ(サノフィ・アベンティス、主成分 レフルノミド)は、関節リウマチに対する効能を持つ薬です。アラバは、関節リウマチに対して強い治療効果を持つことから、世界中で使用されています。しかし、その一方、アラバを使用した患者さんでは、まれに重篤な副作用が生ずることが知られています。そのため、アラバは、リウマトレックス(ファイザー、主成分 メトトレキサート)などのリウマチ治療薬の効果が弱い場合、もしくはリウマトレックスとの併用薬として使われることが多いです。

関節リウマチは、何らかの原因により免疫細胞の活動が異常に亢進して関節に炎症が生じ、関節に強い痛みが起こります。また、関節の炎症は、骨を壊す破骨細胞を活性化させるので、関節を構成する軟骨や骨の破壊が起こります(関節破壊)。関節破壊が起こると、関節がうまく動かなくなり、患者さんの生活の質は著しく低下します。

アラバは、炎症を引き起こす原因となる免疫細胞(活性化リンパ球)の増殖を止める作用を持っています。アラバは、活性化リンパ球の増殖を止め、活性化リンパ球の数を減らします。つまり、アラバの作用機序は、免疫細胞の数を減らすことによる免疫抑剤作用と考えることができます。アラバは、関節リウマチの元を絶つことで炎症を止め、関節炎によって引き起こされる関節破壊も防ぎます。

アラバの主成分であるレフルノミドは、「ヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ」という酵素の働きを止め、活性化リンパ球の増殖を抑制します。ヒドロオロテートデヒドロゲナーゼは、DNAの原料となるピリミジンの合成に関わる酵素です。活性化リンパ球が何らかのきっかけで増殖するときには、DNAのコピーがどんどん行われるので、DNAの材料となるピリミジンもどんどん必要となります。アラバによってこの酵素の働きが止まると、DNAの原料であるピリミジンが供給されないので、活性化リンパ球が増殖できなくなります。活性化リンパ球の数が減れば、必然的に免疫機能は低下し(逆に、これがアラバの副作用につながることもあるのですが)、それにともなって炎症などの症状が抑制されます。

アラバは、関節リウマチの原因を元から断つため、強い治療効果を示します。しかし、その作用は免疫細胞以外にも及ぶため、まれに重い副作用をもたらすことも知られています。例えば、間質性肺炎や肝機能障害、血液を作り出す骨髄機能の低下による血液障害、免疫抑制による感染症、などが報告されており、重篤な場合は死につながることもあります。

これらの副作用は、頻繁に起こるものではないので、医師の指示に従う限りは、必要以上に恐れることはありません。しかし、副作用の前兆となる症状、(咳や息切れ、呼吸困難、発熱や喉の痛み、だるさ、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)など)が認められた場合は、速やかに医師の診察を受けることが必要です。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


アラバ(レフルノミド)の構造式