アミティーザ(ルビプロストン)とはどんな薬?

アミティーザ(スキャンポファーマ/アボットジャパン、主成分 ルビプロストン)は、慢性の便秘症の治療に用いられる薬です。便秘に悩む若い女性は多いようですが、残念ながら、妊娠の可能性が考えられる女性へのアミティーザの投与は禁止されています。これは、アミティーザは、動物実験で胎児への異常(流産)が報告されているからです。

便秘の原因は大きく分けて、器質性便秘と機能性便秘があり、アミティーザは機能性便秘の治療に用いられます。

器質性便秘の例としては、次のようなものが挙げられます。例えば、腸にがんが出来て腸の中が狭くなり便の通りが悪くなる場合や、薬の副作用で腸の運動が悪くなって便が外に出にくくなる場合。このような便秘は、器質性便秘と呼ばれます。アミティーザは、器質性便秘には効果がありません。というのは、アミティーザには、器質性便秘の原因となる病気を改善する作用はないからです。

アミティーザが適用されるのは、器質性便秘ではない、機能性便秘とよばれる便秘です。機能性便秘では、器質性便秘に見られる「原因となる病気や、服用している薬の影響」がないにもかかわらず、腸の運動がうまく行かず排便が起こらないのです。

腸の運動が起こらないと、町内の便からどんどん水分が吸収されます。すると便はどんどん硬くなります。こうなると、いざ腸が動いて便を外に出そうとしても、便の硬さが邪魔となり、便が腸の中を進むことができません。

アミティーザは、腸から水分を分泌させ、硬くなった便を柔らかくする作用を持つ薬です。

アミティーザは、腸の細胞にあるタンパク質「ClC-2 クロライドチャネル」に結合し、このタンパク質の働きを活性化させます。CIC-2クロライドチャネルは、腸の細胞内にある塩素イオン(クロライドイオン)を腸管の内部に送り出す働きを持っています。このとき、同時に水分が腸の中に放出されます。アミティーザがCIC-2クロライドチャネルを活性化すると、クロライドイオンがどんどん腸の中に送り出され、それと同時に水分もどんどん腸内に放出されます。この水分が、硬くなった便を柔らかくするのです。

また、アミティーザは腸の動き自体を活発にさせる作用もあります。腸から分泌された水分で柔らかくなった便は、腸の運動改善にともなって速やかに外に向かって運ばれます。このため、便秘の症状が改善するというわけです。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


アミティーザ(ルビプロストン)の構造式