ヴォトリエント(パゾパニブ塩酸塩) 薬の豆知識

ヴォトリエント| 病院でもらった薬の値段Part3

ヴォトリエント

パゾパニブ塩酸塩)


ヴォトリエント(グラクソ・スミスクライン、主成分 パゾパニブ塩酸塩、薬価 200mg 1錠 = 4,027.2)は、軟部悪性腫瘍というがんの治療に用いられる治療薬です。軟部悪性腫瘍(軟部肉腫ともよばれます)は、体の軟部組織(骨組織や筋肉、神経、血管、脂肪など)で発生する悪性腫瘍のことです。軟部組織に発生する悪性腫瘍が肉腫と分類されるのに対し、肺や肝臓などの臓器などに発生する悪性腫瘍は癌腫と分類されます。

肉腫と癌腫、呼び名は違いますが、悪性腫瘍という点では共通しています。現在、悪性腫瘍に用いられている治療法は、手術療法、化学療法、放射線療法、及びこれらの組み合わせとなります。悪性度が高い軟部悪性腫瘍では、抗がん剤を使用した化学療法が、他の治療法と組み合わされます。

これまで、軟部悪性腫瘍の治療薬としては、ドキソルビシン塩酸塩とイホスファミドが使用されてきました。これら2剤に対して有効性を示さなかった患者さんや何らかの原因でこれらの薬が使用できない患者さんのために、軟部悪性腫瘍の治療薬のバリエーションを増やすことが求められてきました。その結果として得られたのが、ヴォトリエントです。

ヴォトリエントは、軟部悪性腫瘍の治療薬としては始めての分子標的薬であり、VEGF受容体、PDGF受容体およびc-Kitというタンパク質を標的とします。

腫瘍細胞は、急速に増殖するため、多くの酸素と栄養が必要とします。そのために、腫瘍細胞は「新しい血管をつくれ」という指令を周りの血管に送ります。この司令は、腫瘍細胞から血管に向けて、血管内皮増殖因子(VGEF)や血小板由来増殖因子(PDGF)などのタンパク質が放出されることで行われます。VEGF及びPDGFは、血管の細胞上にあるVEGF受容体、PDGF受容体に結合し、これらの受容体を活性化させます。VEGF受容体、PDGF受容体の活性化により、これら受容体は細胞内タンパク質をリン酸化して、細胞内シグナル伝達のスイッチが入ります。

ヴォトリエントは、VEGF受容体、PDGF受容体のリン酸化能力を低下させることで、VEGFとPDGFによるスイッチ(血管新生のスイッチ)が入らないようにします。

一方、腫瘍細胞の増殖には、c-Kitというタンパク質が関与することも知られています。ヴォトリエントはc-Kitの阻害作用も持っていることから、腫瘍細胞の増殖を直接抑制することが可能です。

したがって、ヴォトリエントは、腫瘍細胞への酸素・栄養を遅れなくする兵糧攻め+腫瘍細胞への直接攻撃、の二通りの方法で、軟部悪性腫瘍への治療効果を示す薬剤ということになります。



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ヴォトリエントの主成分(パゾパニブ塩酸塩)の構造式
ヴォトリエントの主成分(パゾパニブ塩酸塩)の構造式

 


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