足浮腫容積測定装置ってどんな道具?

足浮腫容積測定装置とは、文字どおり足浮腫の大きさを測定するための測定器です。足浮腫というのは、足の腫れのこと。足浮腫の大きさは、炎症の強さの指標として使われます。炎症を抑える薬の効果を調べるときには、炎症によって生じる足浮腫の大きさが、薬によってどう変化するかを調べます。

足浮腫容積測定装置

足浮腫を作るには、ラットの足の裏の皮膚の中に、炎症を起こす物質(たとえば、海草由来成分であるカラゲニンなど)を注射します。しばらくすると、ラットの足の裏で炎症がおこり、足がどんどん腫れてきます。1時間もたつと、立派な足浮腫の完成です。

足浮腫の測定のしかたは、意外に原始的です。足浮腫容積測定装置は、水が入ったセルとセンサーからできています。ラットの足を、セルに入れると、水面が上昇します。この水面上昇をセンサーにより測定し、セルの底面積と掛け算して足の容積を計算します。

足浮腫が起こると、腫れたぶんだけ容積が増えるので、足浮腫を起こす前の水面上昇に比べて、足を水に入れたときの水面上昇の方が大きくなります。この水面上昇の差から、足浮腫の大きさを計算するのです。

ラットにカラゲニンを投与する前に、炎症を抑える薬を投与しておくと、薬を飲ませないラットに比べて、カラゲニンによって生じる足浮腫の容積が減少します。足浮腫の容積の減少=炎症作用の減弱、と解釈します。

ただし、足浮腫の大きさは、あくまで炎症の強さの目安であり、実際の炎症での症状(たとえば痛み)を直接反映してるわけではない、ということに注意しなければいけません。炎症が起こりにくくなっても、痛みが残っている可能性はあります。痛みについては、また別の道具を使って評価する必要があります。