ディフェリンゲル(アダパレン)とはどんな薬? 効果と副作用のメカニズム

ディフェリンゲル(ガルデルマ、塩野義製薬、現在の販売元:マルホ、主成分アダパレン)は、ニキビ(尋常性ざ瘡)の治療に用いられるゲル状の塗り薬です。

ニキビは、皮膚の脂(皮脂)が毛穴に溜まり、進行すると皮脂を栄養とするアクネ菌が増殖して炎症を起こします。

ディフェリンゲルの主成分であるアダパレンは、皮膚の細胞を変化させて毛穴を開き、脂分を出やすくしてニキビの改善効果をしめします。

この記事では、ディフェリンゲルの効果・副作用のメカニズム、使用時の注意点について説明します。

ニキビとディフェリンゲル

ニキビは、皮膚の脂(皮脂)が詰まった毛穴の中(毛包)にたまって起こる吹き出物です。

ニキビの初期段階は、毛包に皮脂がたまった状態(白ニキビ)です。

白ニキビは、皮膚細胞の異常で毛穴が狭くなり、毛包が産生した脂分が体外に分泌できない状態です。

ディフェリンゲルは、毛穴の詰まりの原因となる皮膚異常を改善するための塗り薬で、白ニキビに治療効果を示します。

一方、白ニキビを放置すると、皮膚にもともと住みついているアクネ菌が、皮脂を養分として急激に増殖します。

すると、アクネ菌を追い出すために体内の免疫機能が活性化して炎症が起こり、痛みやひりひり感を伴う吹き出物が生じます(赤ニキビ)。

ディフェリンは炎症を直接鎮める作用は強くありません。しかし、白ニキビを改善して赤ニキビへの進行を止めることが可能です。

このように、ディフェリンゲルは、白ニキビを中心に、ニキビの治療に使用されます。

ディフェリンゲルが効果を示すメカニズム

ディフェリンゲルの主成分であるアダパレンの標的は、毛包の表面を覆っている角化細胞です。

ニキビでは、角化細胞の数が増えて厚い層を作り、毛穴が狭まって皮脂が通れなくなります。

アダパレンは、毛穴の出口に角化細胞がたまらないようにして、皮脂を出やすくします。

角化細胞は、皮膚の奥で生まれ、表面に向かって変化(分化といいます)しながら移動して、最後ははがれ落ちます。

アダパレンは、角化細胞の中にあるレチノイン酸受容体(RAR受容体)というタンパク質に結合して活性化します。

アダパレンによって活性化したRAR受容体は、細胞分化に必要な遺伝子の働きを変化させます。

その結果、ディフェリンゲルを使用すると、角化細胞の分化が正常に近づき、毛穴の出口に角化細胞がたまりにくくなって、毛穴の詰まりが改善するのです。

ディフェリンゲルにより毛穴から皮脂が出やすくなると、毛包内の栄養分が減り、アクネ菌は増えにくくなります。

アクネ菌の数が減れば、吹き出物や炎症も起こりにくくなります。

このように、ディフェリンゲルは皮脂の分泌を改善し、吹き出物の原因を元から断つことでニキビの治療効果を示します。

ディフェリンゲルの臨床試験では、およそ1〜2週間で皮疹(吹き出物)の数が減少し、ヒリヒリ感や痒みも改善する効果が認められています。

ディフェリンゲル使用時の注意点

アダパレンは、毛包以外の皮膚細胞にも分化などの変化を与えます。

その結果、ディフェリンゲルを使用すると、2週間程度で皮膚の乾燥感や赤み(紅斑)などの副作用が生じることがあります。

ディフェリンゲルの使用を続けるうちにこれらの副作用は自然に改善しますが、変化がない場合には、医師や薬剤師に相談する必要があります。

また、ディフェリンゲルは妊婦や妊娠している可能性をもつ女性は使用できません。

これは、アダパレンがRAR受容体を活性化すると、胎児に奇形などの副作用が起こる可能性があるからです。

RAR受容体は、皮膚細胞だけでなく、胎児のさまざまな細胞の分化に関わり、胎児の成長に重要な役割を果たします。

ディフェリンゲルは塗り薬で胎児に薬剤が届く可能性は低いですが、念の為に妊娠中の女性の使用は禁止されています。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。

アダパレンの構造式