テレメトリーシステムってどんな道具?

テレメトリーとは、動物に測定器を埋め込んで、非接触的に血圧/心拍数/心電図/呼吸数などを測定するための測定装置です。テレメトリーのシステムは、具体的にいうと、体内(大抵、おなかの皮下)に埋め込まれた測定器からは無線でアンプに信号が送られ、血圧/心電図などをリアルタイムでモニターするというものです。

テレメトリーのシステム図

通常、動物の血圧や心拍数を測定するためには、動物を固定した上でしっぽにカフ(ヒトの血圧測定のときに使う、手に巻くベルト)をかけて測定したり、血管にカニューレ(管)を挿入して、血管と測定器を直接接続して測定する方法などがあります。

しかし、これらの測定方法は、基本的にラットなどの小動物に適用されるものです。また、動物の行動が、カフやカニューレで抑制されるので、拘束によるストレスなどの刺激が加わってしまい、データがぶれるなどの影響があります。薬を作る過程では、安全性を確認するために、イヌなどの大動物をもちいて薬物の循環器系の作用を調べる必要があるのですが、このときデータが安定して測定できないと、薬の作用(毒性)が把握できない可能性も出てきます。

そこでテレメトリーの登場です。テレメトリーは、イヌなどの大動物にも適用が可能です。また、テレメトリーは無線で信号を送るため、動物はなんにも拘束されることはなく、ストレスがかかることもありません。また、送信機は何度でも使用可能なので、コスト的にも安上がりです。テレメトリーは理想的な循環動態測定ツールといえます。

テレメトリーのモニター画面は、すごくかっこいいです。まるで医者になったみたいに感じます。まぁ、見た目だけじゃなくて、波形に込められたデータの意味まで汲み取らないと、テレメトリーの意味がないのですけどね。