プラバスタチンとはどんな薬? 効果・副作用のメカニズム

プラバスタチン(商品名メバロチンなど)は、血中コレステロールが高い状態である高脂血症の治療薬で、生活習慣病の原因となる動脈硬化を防ぐために使用されます。

プラバスタチンは、肝臓でのコレステロールの合成反応を止めることで、コレステロールの産生量を低下させることで、高脂血症に対する治療効果を示します。

一方、プラバスタチンのまれな副作用として、手足の筋肉細胞が壊れる横紋筋融解症があります。

横紋筋融解症の症状である筋肉痛や赤褐色の尿に気づいたときは、早急に医師への連絡が必要です。

この記事では、プラバスタチンの効果・副作用のメカニズムを解説します。

目次

プラバスタチンが効果を示すメカニズム

コレステロールは細胞を形作る細胞膜の原料として使われる欠かすことができない物質です。

しかし、血中のコレステロール値が必要以上に増加すると体にとって悪影響を与えます。

高脂血症は動脈硬化を引き起こし、長期的にはの生命に関わる脳卒中・心筋梗塞などの発生リスクを高めます。

そのため、プラバスタチンなどの薬剤によってコレステロール量を正常な範囲内にとどめなくてはいけません。

生体内のコレステロールは、食事にふくまれるものと、肝臓などの臓器で合成されるものがあります。

プラバスタチンは、生体内のコレステロール合成反応を調節する酵素の中で最も重要なHMG-CoAレダクターゼの働きを強く抑制します。

その結果、プラバスタチンを服用するとコレステロール合成量がへり、血液中のコレステロール量が低下して、高脂血症に対する治療効果が得られます。

プラバスタチンの副作用のメカニズム

プラバスタチンは、基本的には副作用が少ない安全な薬ですが、まれに横紋筋融解症という副作用が生じます(添付文書では頻度不明)。

筋肉痛や筋力の低下、全身のだるさ、赤褐色の尿などが横紋筋融解症の症状で、これらはすべて手足の筋肉(骨格筋)が破壊されることで起こります。

この副作用に特徴的な赤褐色の尿は、筋肉細胞の中のミオグロビンというタンパク質が壊れた細胞から漏れ出て、尿により体外に出てくることで起こります。

ミオグロビンが大量に漏れ出ると、腎臓に詰まってしまい、腎機能が低下して危険な状態になることもあるので早めの発見が大事です。

プラバスタチンを服用して、筋肉痛などの症状が出た場合には、医師に早急に報告する対応が必要です。

プラバスタチンが横紋筋融解症を起こすメカニズムははっきりしていませんが、以下の3つの原因が考えられています(厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル」から)。

  1. 細胞膜のコレステロール不足
  2. Geranylgeraniol誘導体(HMG-CoAレダクターゼが作り出す物質)の減少による筋肉細胞の機能低下
  3. Geranylgeraniol誘導体の減少による筋肉細胞のエネルギー産生の障害

いずれの原因もHMG-CoAレダクターゼの機能低下が引き金となるため、プラバスタチンを含む薬剤(メバロチンなど)服用する際には、副作用として横紋筋融解症が生じる可能性を忘れてはいけません。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


プラバスタチンの構造式