ブロプレス(カンデサルタン シレキセチル)とはどんな薬?

ブロプレス(武田薬品、主成分カンデサルタン シレキセチル)とニューロタン(主成分ロサルタンカリウム )は、いすれもACE阻害薬を超える理想的降圧剤といわれている、アンギオテンシン2受容体阻害薬です。ブロプレスは、これまでのACE(angiotensin converting enzymeアンギオテンシン変換酵素)阻害薬と異なるメカニズムで効果を示します。

ブロプレス(カンデサルタン シレキセチル)の構造式

カプトリルは、ACE(エース、angiotensin converting enzyme アンギオテンシン変換酵素)阻害薬と呼ばれる種類の薬剤で1977年から発売されている古い薬ですがまだまだ現役です(主成分のカプトプリルはジェネリック医薬品としても使用されています)。

ACE阻害薬は、前回取り上げたようにアンギオテンシン産生を抑制する薬剤でした。しかし、ACE阻害薬は、咳がでるという副作用が問題となっていました。咳をする原因は以下の通りです。

ACEはアンギオテンシンを産生する作用以外に、ブラジキニンというペプチドの分解にも関与します。ACEを阻害すると、ブラジキニン量が増えます。また、ブラジキニンには、咳を誘発する作用があります。以上のことから、ACE阻害薬では咳が副作用として必然的に現れます。そこで作用メカニズムが異なる薬剤の開発が行われました。

アンギオテンシン2はアンギオテンシン受容体と呼ばれるタンパク質に結合して、降圧作用を示します。そこでアンギオテンシン2とアンギオテンシン受容体の結合を阻害する薬剤は、ACE阻害薬と同様の降圧作用を持ち、咳などの副作用を持たないと考えられました。以後、アンギオテンシン受容体阻害薬の開発競争になり、ブロプレスやニューロタンという薬剤がでてくるのです。

低分子アンギオテンシンII受容体阻害薬を最初に発見したのは、武田薬品でした。武田薬品の研究者はCV-2973という化合物がアンギオテンシンII受容体の作用を阻害することを発見しました。CV-2973は、高血圧患者に対する臨床試験まで進みましたが、患者での降圧作用が弱かったために、臨床試験でドロップ(中止)しました。

一方、CV-2973が発表されると、CV-2973をもとに、各製薬会社は一斉に類似化合物の合成&スクリーニングを開始しました。武田の特許にあったCV-2961という化合物をもとに、デュポンがDuP 753という化合物を発見しました。これがニューロタン(ロサルタン)です。これを知った武田は、後続品の開発に着手し、10ヶ月で、ニューロタンより薬効が強い化合物CV-11974を発見、これを改良して、より体内に吸収されやすいブロプレス(TCV-116,カンデサルタン シレキセチル)を生み出しました。

CV-11974の体内に入りにくい原因であるカルボン酸をエステルにしたのがブロプレスです。ブロプレスは、エステルなので、腸から血液中に入りやすくなっています。そしてブロプレスは、血液に入るとすぐエステラーゼというタンパクで分解されCV-11974となり作用を示します。ブロプレスのような、体内で分解され活性化する薬をプロドラックといいます。

現在では、様々な会社がアンギオテンシン2受容体阻害薬を開発していますが、先発組のブロプレス、ニューロタン、が勝ち組となってます。これからブロプレスなどの長期使用による循環器系の保護作用なども示されていくと思います。ニューロタン、ブロプレスのどちらも良い薬なんですが、私個人としてはニューロタンの方が好き(名前がかわいいから)。