カプトプリルとはどんな薬?

カプトプリルは高血圧治療薬で、アンギオテンシン変換酵素(ACE、angiotensin converting enzyme)阻害薬と呼ばれる種類の薬剤です。血管の筋肉(血管平滑筋)を緩め、血液の流れを改善して血圧を下げます。カプトプリルは、1977年にカプトリル(第一三共エスファ,ブリストル・マイヤーズ)という商品名で発売された古い薬剤で、現在では多くの会社からジェネリック医薬品が発売されています。

薬価=薬の値段

カプトリル錠の薬価(2019年3月現在):薬価=薬の値段

カプトプリルは、血圧調節に重要な役割を持つタンパク質「アンギオテンシン2」の生体内での産生を低下させて降圧作用を示します。

アンギオテンシン2とは、アンギオテンシノーゲンというタンパク質が、タンパク分解酵素であるレニンとアンギオテンシン変換酵素によって分解されてできるペプチド(数個のアミノ酸でできている分子)で、腎臓から血液中に分泌されます。アンギオテンシン2は、血管平滑筋という筋肉を収縮させて血管を狭め、血液を通りにくくして血圧を上昇させます。

カプトプリルはアンギオテンシン変換酵素の働きを低下させるので、アンギオテンシン2の産生が低下します。すると、血管平滑筋の収縮が弱まって血管が拡張し、血流が改善されて血圧が下がります。

カプトプリルに代表されるACE阻害薬は、もともとは降圧薬として開発され、高血圧の患者さんに使用されていました。一方で、循環器系の他の病気への効果を調べるための臨床研究も行われました。その結果、ACE阻害薬の中には、血圧を下げるだけでなく、腎臓病での腎機能低下を防ぐ臓器保護作用(イミダプリル塩酸塩(商品名タナトリル))や、長期投与することで心臓の機能不全を改善する効果(エナラプリル(商品名レニベース)をあわせ持つこともわかりました。

これらの臓器保護作用は、ACE阻害薬登場以前の降圧剤にはない優れた作用です。多くの循環器系疾患に対する有効性が認められたことから各製薬会社は、1980-90年代にかけて続々と薬剤を開発・販売し、ACE阻害剤の黄金時代を築きました。

しかし、カプトプリルを始めとするACE阻害剤には「空咳」という避けることができない副作用がありました。アンギオテンシン変換酵素は、咳を起こすブラジキニンというペプチドも分解します。ACE阻害薬を服用するとブラジキニンが分解されず量が増えてしまうので、喉に刺激がなくても咳が出てしまうのです。

この問題を解決するために新たに開発されたのは、ブロプレス(武田薬品、主成分カンデサルタン シレキセチル)に代表されるアンギオテンシン受容体拮抗薬でした。現在でも、カプトプリルをはじめとするACE阻害薬は広く使用されていますが、主役の座にとどまるというところまでは行かないのが現状です。


カプトリル(カプトプリル)の構造式