シオゾール(高田製薬、主成分金チオリンゴ酸ナトリウム)は関節リウマチの治療薬(抗リウマチ薬)で、関節の痛みや腫れに対して改善効果を示します。
シオゾールの主成分である金チオリンゴ酸ナトリウムは、関節炎を引き起こす免疫細胞(マクロファージや多核白血球)の機能を低下させ、抗炎症作用を示します。
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関節リウマチとは、免疫機能の異常により手足の関節に重い関節炎が生じ、腫れや強い痛みを生じる病気です。
関節の炎症が悪化すると、関節の骨がボロボロに壊れ、関節の構造が破壊されるので、手足や指を動かすことが困難になります。
関節リウマチでは免疫力が過剰になり、免疫機構が自分自身を攻撃して炎症を起こします。このような病気を「自己免疫疾患」と呼びます。
シオゾールは活性化した免疫細胞の活動を弱めて、炎症を和らげる効果を示します。
関節リウマチでは、関節を覆う滑膜という部分で、さまざまな免疫細胞(マクロファージや多核白血球など)が活性化します
これらの免疫細胞は、炎症の原因となる物質(サイトカイン)をドンドン産生し、Tリンパ球を活性化して滑膜や軟骨・骨を破壊させます。
シオゾールの主成分である金チオリンゴ酸ナトリウムは、免疫細胞の機能を抑制して炎症を抑え、関節の破壊を防ぎます。
しかし、どのような生体分子にシオゾールが作用するのかについては、今もまだよくわかっていません。
シオゾールの特徴(というか変わった所)は、有効成分が『金』であることです。
金が結核に対して治療効果を持つことをきっかけに、金製剤が他の病気の治療にも用いられる様になりました。
使用経験が増えるにつれ、金が関節リウマチに治療効果があることも明らかとなり、シオゾールなどの薬剤として広く使用されるようになりました。
金を含有する抗リウマチ薬は金製剤と呼ばれており、注射剤であるシオゾールと、飲み薬であるリドーラがあります。
近年は、関節リウマチ治療薬が複数開発され、シオゾールなどが用いられる機会は減りました。
しかし、さまざまな理由で他の薬剤が使用できない患者さんに対する治療選択肢として、シオゾールは使用されています。
シオゾールの問題点は、他の薬剤に比べて副作用がやや多いことです。
皮膚炎や口内炎、蛋白尿などが認められるので、シオゾールを使用するときは、これらの症状に気をつけることが必要です。
金属(金属イオン)が薬として使われる例は、シオゾールのほかにもあります。
胃もたれの原因である過剰な胃酸を中和するために、酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムが使われます。
また、シスプラチンに代表される白金化合物は、DNA合成を阻害する作用を持つため、抗がん剤として用いられます。
[この記事を書いた人]
薬作り職人
国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。
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