リウマトレックス(メトトレキサート)とはどんな薬?

リウマトレックス(ファイザー、主成分メトトレキサート)は、関節リウマチの治療薬です。慢性関節リウマチとは、生体内の免疫細胞が自分自身の関節を攻撃して、重い関節炎を生じる病気です。重症の場合には、手足の関節を作る骨や軟骨が破壊され変形するため、日常生活の動作に障害を生じます。有効成分であるメトトレキサートは、リンパ球や好中球などの免疫細胞の増殖を抑制し、関節の炎症を止める効果を示します。また、骨や軟骨を壊す原因となるコラゲナーゼという酵素の量を減らすことで、関節が破壊されるのを防ぐ作用もあります。

メトトレキサートは、核酸(遺伝子の本体であるDNAの材料)の合成に必要な葉酸という物質の量を減らします。メトトレキサートは葉酸を合成するタンパク質「ジヒドロ葉酸還元酵素」の働きを止め、葉酸を減少させることで核酸合成を抑制します。するとDNA合成が止まり、細胞が増殖できなくなるのです。

メトトレキサートは、もともとは白血病の治療薬(つまり抗がん剤)として開発されました。白血病は、骨髄に異常が起こり白血球の増殖能力が高くなる状態なので、進行を阻止するには細胞増殖を止めるしかありません。細胞増殖抑制作用を持つメトトレキサートは、メソトレキセート(ファイザー)という商品名で、まずは白血病治療薬として世に出ました。

一方、関節リウマチの基礎研究の結果、関節炎や関節の破壊は、免疫機構に異常が起こり、白血球の働きが強くなり過ぎて起こることがわかりました。そこで、白血球の増殖を抑えるメトトレキサートを、抗がん剤としての使用量よりも少量でリウマチ治療薬として使用するというアイデアが出されました。こうして開発された薬剤がリウマトレックスです。

リウマトレックスの副作用としては、骨髄(骨の中にある血液細胞を産生する器官)の働きが抑制され血液細胞が作られなくなる骨髄抑制や呼吸困難に陥る間質性肺炎、感染症などが挙げられます。これらの頻度は高くありませんが、生命にかかわる重大な副作用であり、定期的に検査を受けるなど注意が必要です。副作用を避けるため、リウマトレックスの服用法は細かく設定されています。添付文書に記載されている用法用量は、「通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、本剤1カプセル(メトトレキサートとして2mg)を初日から2日目にかけて12時間間隔で3回経口投与し、残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す」とされています。

リウマトレックスは、強い有効性と副作用を併せ持っています。しかし、医師の指導に従い服用し、副作用の兆候を感じたらすぐ医師に報告するということを守る限り、必要以上に心配する必要はありません。リウマトレックスは、関節リウマチの標準治療薬(アンカードラッグ)として世界中で使われています。現在、新しい抗リウマチ薬が登場しつつありますが、リウマトレックスが治療の基本となるという状況は変わらないと思います。


リウマトレックス(メトトレキサート)の構造式