キネダック(エパルレスタット)とはどんな薬?

キネダック(小野薬品工業、成分名エパルレスタット)は、糖尿病性神経障害の治療薬です。糖尿病で血糖値が高い状態が長期間続くと、皮膚感覚を伝える神経細胞がダメージを受け、手足の痛みやしびれを感じることがあります。痛みやしびれは、直接命につながる症状ではありませんが、生活する上で非常に不快な症状です。キネダックは、このような神経の障害を回復させ、知覚異常を改善させる効果を持ちます。

糖尿病はさまざまな原因によって、血糖値が高くなる状態です。血液中に含まれる糖(グルコース;ブドウ糖)は体の細胞の重要なエネルギー源なのですが、あまりに血液中のグルコースの濃度が高い状態が続くと、すべてを使い切れずブドウ糖が余ってしまいます。

生体には余分なグルコースを処理するためのポリオール経路という仕組みがあり、アルドース還元酵素(アルドースリダクターゼ)という酵素がブドウ糖をソルビトールという物質に変えます。ソルビトールはフルクトースという物質にさらに変化して、神経細胞に対して同区性を示すことで知覚神経の機能にダメージをあたえます。すると、痛みやしびれという糖尿病性神経障害の症状がおこるのです。

キネダックの有効成分であるエパルレスタットは、アルドース還元酵素の働きを抑える作用を持ちます。するとポリオール系統を介したソルビトールやフルクトースの産生が止まることになり、神経細胞を傷害させる分子が減るので神経障害の進行が止まります。キネダックは、痛み止めのように直接痛みやしびれを止める薬ではなく、症状の原因を改善する薬剤というわけです。

神経に関連する薬には共通して言えることですが、キネダックのような神経障害改善薬の有効性には個人差があります。「効きやすい人」「効きにくい人」がいるということです。これは動物実験での効果でも同じで、動物一匹一匹で効果がまちまちということがあったりします。違う言い方でいうと、全部まとめて解析すると効かないように見えるけど、効く人には効く、ということです。

「キネダックが効く患者」の見分ける方法がわかれば、薬を効率的に効かせることが出来ます。現在ではまだその方法はわかっていませんが、例えば「よく効く人」と「効かない人」の間での遺伝子の違いがわかれば大きなヒントになるかもしれません。このように、薬の効きやすさを判断できる生体内分子(バイオマーカー)の探索は近年活発に行われています。

糖尿病は、血糖を下げることはそんなに難しくはありませんが、合併症の治療は非常に難しいです。予防と早期発見が大切です。


キネダック(エパルレスタット)の構造式