オノン(小野薬品工業、主成分プランルカスト水和物)は、気管支喘息・アレルギー性鼻炎に用いられる治療薬でアレルギー反応などで引き起こされる炎症を止めることで、これらの病気の発作や不快な症状を防ぎます。オノンドライシロップは、子供が飲みやすいよう甘い味をつけた薬剤です。オノンは、喘息やアレルギー鼻炎の症状を引き起こす原因であるロイコトリエンという生体内物質の働きを止めることで、これらの疾患の症状を鎮めます。
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喘息やアレルギー鼻炎では、白血球などの免疫細胞がロイコトリエンという物質を産生します。生体内に異物が侵入すると生体は外敵が来たと認識し、これを追い出すためのメカニズムが作動します。アレルギー反応はこのメカニズムが過剰になった状態です。ロイコトリエンは、外敵からの防御システムの中でも、呼吸器の筋肉(平滑筋)を収縮させて咳(せき)やくしゃみをおこし、異物を体の外に排出させる役割を持っています。
白血球から分泌されたロイコトリエンは、ロイコトリエン受容体というタンパク質に作用して、筋肉を収縮させたり炎症反応の引き金を引きます。オノンの有効成分であるプランルカストは、ロイコトリエンが受容体に結合できなくさせ、その作用を打ち消すことで、喘息やアレルギー鼻炎の症状を鎮めます。
オノンドライシロップは、主成分のプランルカスト水和物とシロップ剤などを混ぜて乾燥(ドライ)し粉末にしたものです。ぬるま湯を加えると甘いシロップとなり、薬の苦みやにおいを感じずに薬を飲むことが出来ます。
親になって分かりましたが、子供に薬を飲ませるのは至難の業です。苦い粉薬は、大人は我慢できても子供は飲めません。かといって、錠剤やカプセル剤を飲ませることもなかなかできません。喘息などで、小児が定期的に薬を飲まなければいけない場合、飲みやすくするための工夫が必要です。製薬会社としても、薬を飲みやすくするためにいろいろとがんばっているということです。
薬を作るときは、作用を強くすることはもちろん大切ですが、飲みやすく、使いやすくするための技術(製剤技術といいます)も重要です。子供向けのドライシロップに限らず、大人用の錠剤、注射剤でも、使いやすくするためのさまざまな工夫がなされています。
[この記事を書いた人]
薬作り職人
国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。
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