ニトログリセリン | 病院でもらった薬の値段TOP

ニトログリセリン


以前テレビのドラマなんかでよく見たシーン。

金持ちの白髪の老人が、いきなり胸をかきむしり、「薬、、薬をくれ、、」と倒れ込む。と、使用人があわてて錠剤と水を差し出す。老人は何とか薬を飲み干し、しばらくすると「すまん、もう大丈夫だ、、」などといい平静に戻る。

 このシーンから想定されるのは、狭心症の発作です。狭心症とは、心臓の周りの冠状動脈という血管が狭くなることで起こる病気です。冠状動脈とは、心臓の細胞とくに筋肉の細胞(心筋細胞)に酸素や栄養分を運ぶ動脈です。心臓は常に拍動しているので、大量の酸素、栄養分を必要とします。そのため、冠状動脈が狭くなると酸素、栄養分が心筋細胞に届かなくなり、心臓の働きが急速に弱まります。そして、息苦しくなり、激痛に襲われます。これが狭心症の発作です。

 で、狭心症の発作をおさめるためには、狭くなった冠状動脈を広げてやらなくてはいけません。この目的に最も適している薬剤は、ニトログリセリン(ニトログリセリン錠、日本化薬、0,3mg 錠 15.7円)です。ニトログリセリンは、ダイナマイトの原料です(ちなみにニトログリセリン錠を製造発売する日本化薬は、爆薬を作るメーカーです)。ニトログリセリンの狭心症発作に対する効果を発見したのは、ダイナマイト工場の従業員だといわれています。

 ニトログリセリンが冠状動脈を拡張させるメカニズムですが、ニトログリセリンが冠状動脈内で分解されてできた一酸化窒素(NO)が冠状動脈の筋肉に作用して、冠状動脈を拡張するためだとされています。このようなNOの作用を見つけた研究者はノーベル医学生理学賞を受賞しました。
 

最初のドラマの話に戻りますが、この老人の病気が狭心症であれば、ここに出てくる薬はおそらくニトログリセリンであろうと思われます。そうだとすれば、この老人の行動にはひとつおかしいところがあります。なんでしょう?

それは、老人の薬の飲み方です。

ニトログリセリンを水で飲み込むと、胃腸から吸収されて肝臓へ送られるのですが、ニトログリセリンは肝臓まででほとんど壊されてしまい、血液中にニトログリセリンが入れません。これでは肝心の冠状動脈までニトログリセリンが届かず、効き目が出ません。というわけで、ニトログリセリンは水で飲み込んではいけないのです。

 通常ニトログリセリン製剤は、舌の下にはさんで使用します。これを舌下錠といいます。ニトログリセリンは舌の粘膜から吸収され、そこから直接血液に入り心臓へ送られます。肝臓を通らないので、ニトログリセリンは分解することなく冠状動脈に達します。

 というわけで、老人は水を使わず錠剤をそのまま口に入れるべきでした。そうすれば10−20分で薬がきき、楽になります。水でニトログリセリンを飲んでたら命に関わっていたはずです。サスペンスドラマなんかで、このようなシーンが出てきたときは注目してみてください。制作者の力量が分かります。
 

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