バクシダール | 病院でもらった薬の値段TOP

バクシダール
(ノルフロキサシン)

 ついこの間、親知らずのせいで歯ぐきが化膿し、激痛が走りました。早速歯医者に行って、鎮痛薬と抗生物質をもらったので、痛みは収まりました。
 ということで、抗生物質を取り上げようかと思ったんですが、ちょうどニューキノロン剤という抗菌剤の資料を読む機会があったので、ニューキノロン剤を取り上げたいと思います。

 「バクシダール」(杏林、主成分ノルフロキサシン、薬価 100mg錠 = 41.2円)は古い薬ですが、日本発、世界初のニューキノロン剤です。

 ニューキノロン剤は、抗菌作用(細菌を殺す作用)を持つ化合物です。そういう意味では、ペニシリンなどでおなじみの抗生物質と同じ作用を持ちます。しかし、一般に抗生物質と呼ばれる薬とは、毛色が違っています。

 抗生物質は、もともと自然界の生物(カビなど)から発見された化合物、もしくはその物質に手を加えた化合物です。これに対し、バクシダールなどのニューキノロン剤は、一から化学合成されて生まれました。このため、ニューキノロン剤は、合成抗菌剤とも呼ばれます。

 ニューキノロン剤があるということは、オールドキノロン剤がある訳ですが、その起源はマラリアの薬として開発された化合物です。この化合物が、マラリアだけでなく、感染症に関与する細菌に対して弱い抗菌作用を示すことが示されたのが、そもそものスタートでした。

 キノロン剤の合成が進むうちに、キノロン剤の弱点が見えてきました。それは、抗菌作用の対象となる細菌の種類が少ない(「抗菌スペクトルが狭い」といいます)ことでした。その当時の抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシンおよびその類似化合物)は、広い抗菌スペクトルを示しており、キノロン剤との差は歴然としていました。
 
 そこで、抗菌スペクトルを高めることを目標に多数の化合物が合成されました。キノロン剤は、有機合成による手が加えやすい構造を持っていたので、様々な部分構造を何通りも組み合わせることができました。何年も合成を続けると、次第に抗菌スペクトルが広い化合物が出てくるようになりました。

 そして、最終的に選ばれたのがバクシダールの主成分であるノルフロキサシンでした。ノルフロキサシンの一番の強みは、抗菌スペクトルが広く、しかも、これまでの抗生物質が効きづらかった緑膿菌に対する抗菌作用が強いということでした。それに加え、吸収された化合物が泌尿器、耳、鼻などのいろんな臓器に高濃度で達するというのも大きな強みでした。ノルフロキサシンは、それまでのキノロン剤から大きな進歩を遂げたということで、ニューキノロン剤と呼ばれることになりました。

 自然からいわば借りてきた抗生物質と、対等に勝負できる化合物を人間の手で作り出せたという意味で、ニューキノロン剤は薬作りの中でも大きな足跡だと思います。

 バクシダールは、国内だけでなく海外においても高く評価され、現在でも100カ国以上で用いられています。また、バクシダール以降も様々なニューキノロン剤が開発され、特に日本が大きく貢献しています。

 というわけで、次もニューキノロン剤のお話の予定です。

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バクシダール(ノルフロキサシン)の構造式
バクシダール(ノルフロキサシン)の構造式


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