ベイスン | 病院でもらった薬の値段TOP

ベイスン
(ボグリボース)

今回紹介するのは、ベイスン(武田薬品、主成分 ボグリボース、薬価 0.2 mg 錠 = 40.2 円)です。ベイスンは糖尿病用の飲み薬なんですが、ほかの飲み薬とはちょっと毛色が違います。

飲み薬を開発するときは、口から入れた薬が消化管の粘膜から全身の血液の中に吸収されるように工夫するのが鉄則です。消化管から全身の血液に吸収する間には、消化管や肝臓のなかにあるタンパク質(薬物代謝酵素と言います)による分解という高いハードルがあります。

そこで、たいていの場合この薬物代謝酵素に分解されないように化合物の構造をいろいろ変えたりします。本来の薬の効果を保ちつつ、代謝酵素で分解されにくくしなくてはいけません。

というわけで、飲み薬を開発するのは大変なのです。

ところで、ベイスンが変わっているのは、飲み薬にも関わらず、消化管から血液にほとんど移行しない、つまり吸収されないという点です。

なぜ消化管から吸収されなくてもよいのか?
これは、ベイスンのメカニズムに秘密があります。

ベイスンは糖尿病の薬だと書きました。糖尿病は血液中のブドウ糖(グルコース)の量(血糖値)が高くなる病気です。糖尿病では、血糖値が高いことで様々な臓器に疲弊をもたらし、腎臓、神経、循環器などの臓器で、様々な合併症を示します。
治療としては、血糖値をコントロールすることが重要になります。

血糖値が変化するのは、主に食事をした後です。糖分が消化管から吸収されるためには、糖分はグルコースに分解されている必要があります。このため、食事後には血糖値(グルコース量)が上昇します。ここに目を付け、食事後の血糖値上昇を押さえる、という立場から糖尿病にアプローチした薬がベイスンです。ベイスンは「食事由来のグルコースが消化管からの吸収されるのを抑制する」という方法で血糖値の上昇を抑えます。

消化管内の食物に含まれるデンプンなどの糖分からグルコースは作られるのですが、ベイスンはその作用に関わるαグルコシダーゼという酵素タンパクの働きを抑制します。糖分が消化管から吸収されるためには、糖分はグルコースになっている必要があるので、ベイスンは結果的にグルコースの体内への吸収を阻害します。

 ベイスンの効果を最大にするには、グルコースが作られる部位、つまり消化管の中に薬がある(=吸収されない)ことが重要になります。そこで、ベイスンは消化管から吸収されない方がよいのです。

実は、このような消化管から吸収されないほうがよい薬は、他にも結構あります。それらについては、また次の機会に紹介したいと思います。


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構造式
ベイスン(ボグリボース)の構造式
ベイスン(ボグリボース)の構造式


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