カリメート(ポリスチレンスルホン酸カルシウム )とはどんな薬?

カリメート(興和、興和創薬、主成分 ポリスチレンスルホン酸カルシウム)は、消化管からのカリウムイオン(以下カリウム)の吸収を妨げる作用を持つ薬です。腎臓病で腎機能が低下すると血液中のカリウム濃度が調節できなくなり、体内に余分なカリウムがたまって、さまざまな症状が起こります。これを高カリウム血症といいます。主成分であるポリスチレンスルホン酸カルシウムは、消化管内の食物に含まれるカリウムを自分自身に結合させることで体内への吸収を低下させ、高カリウム血症を改善させます。

腎臓病の患者さんは、腎臓からカリウムが排泄できなくなり、血液中のカリウム濃度が高くなります(高カリウム血症)。すると、心臓や神経、消化器系の活動に影響がでて、不整脈、知覚過敏、悪心、嘔吐などの症状が現れます。そのため、高カリウム血症を防ぐためには食物中に存在するカリウムの消化管からの吸収を止める必要があります。

カリメートの有効成分であるポリスチレンスルホン酸カルシウムは、その化学構造の中にカリウムイオンと結合しやすい部位を数多く持っています。野菜や肉の細胞にはカリウムイオンが含まれていて、食物が消化されると消化管内に放出されます。ポリスチレンスルホン酸カルシウムは、カリウムを自分自身に結合させて体内に吸収させません。ポリスチレンスルホン酸カルシウムは体内に取り込まれないので、カリウムイオンもろとも体外に排出されます。このようにして、カリメートは血液中のカリウムイオン上昇を防ぐのです。

ポリスチレンスルホン酸カルシウムは非常に水に溶けにくいのですが、カリウムを十分吸収させるためには1日当たり15-30gを服用しなくてはいけません。そのため、カリメートにはシロップで味をつけたドライシロップ剤やゼリーのような経口液(味付き)が用意されており、患者さんに飲みにくさをできるだけ感じさせないような工夫がされています。


カリメートなどを使い、どうしても高カリウム血症を防がなくてはいけない理由の一つは、心臓の機能へのカリウムの関与です。

カリウムは、心筋細胞の規則正しい拍動の中で、収縮から弛緩する際のタイミングをコントロールする役割を持っています。心筋細胞が収縮から弛緩するときに、細胞表面にカリウムが通り抜けられる穴が開き(カリウムチャネル)、カリウムが細胞内から細胞外へ流れ出します。これは、細胞外のカリウム濃度が非常に低く、細胞内に豊富にあるカリウムがあふれ出すからです。このカリウムの移動により、心筋細胞の電気活動は低下して、次の収縮に備えることができます。(注:カリウムチャネルの開閉&カリウムの移動には、ナトリウムイオン、カルシウムイオンの濃度や、細胞膜における電位差など他の要素も影響しますが省略します)

細胞外カリウムが上昇した場合には、心筋細胞の内外のカリウムの濃度差が小さくなり、カリウムの流出がうまく行かなくなって、心臓の収縮弛緩のリズムが乱れます。これが不整脈であり、ひどい場合には心停止にいたる重大な症状です。そのため、細胞外のカリウム濃度は厳密にコントロールされる必要があるのです。


カリメート(ポリスチレンスルホン酸カルシウム)の構造式