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フサン
(メシル酸ナファモスタット)
 体の中では酵素というタンパク質が、いろいろな場面で活躍しています。酵素は、体の中での化学反応を手助けして、すみやかに目的の物質を生成させます。また、酵素によっては、他のタンパク質の形を変えたり壊したりすることもあります。このような酵素の代表が、プロテアーゼです。

プロテアーゼとは、「タンパク質を切断する酵素」のことです。タンパク質を切断するというのはイメージしにくいかもしれないので説明します。タンパク質の構造は、沢山のアミノ酸が1列につながったひものように考えることが出来ます。そして、プロテアーゼは、タンパク質の中にある特定のアミノ酸のところでタンパク質のひもを切断します。

 タンパク質を切断することは、生きていくために重要な反応です。しかし、一つ間違えると、体にとって非常に危険なものにもなりえます。

今回紹介するフサン(鳥居薬品、主成分メシル酸ナファモスタット、薬価10mg1瓶 = 1103円)は、プロテアーゼの働きを抑制する薬です。
それでは、薬を使ってプロテアーゼの活性の働きを抑えなければならないのはどういう状況なのでしょうか?

ひとつは、膵臓(すいぞう)の炎症、膵炎の場合です。
膵臓からは、トリプシンなどのプロテアーゼが分泌されます。もともとのトリプシンの働きは、胃を通り抜けたタンパク質を切断して、消化管から吸収されやすくすることです。
しかし、原因は不明なのですが、トリプシンが膵臓自身や消化管を構成するタンパク質を消化してしまうことがあります。この状態を膵炎といいます。急性膵炎は、非常に危険な病態で、臓器の消化が進み、適切な処置がされないと死亡に至ることもあります。

そこで、トリプシンの作用を抑制するために、フサンの投与を行う必要があります。

もう一つは、血管の中の血液が急激に固まってしまう場合です。
血液は、体外にでると自然に固まりますが(血液凝固)、この働きには血液凝固因子というプロテアーゼが大きく関与しています。血液が凝固するためには、さまざまなタンパク質の反応が関与しますが、その反応のスイッチとなっているのが、血液凝固因子です。プロテアーゼの働きにより、血液凝固因子が他の血液凝固因子を切断すると、それがきっかけとなって、つぎのプロセスに進んでいくのです。

出血をした時には、血を止めなくてはいけないので、血液凝固が非常に大事になります。しかし、原因がよくわからないのですが、出血がなくてもプロテアーゼのスイッチが入ることがあります。この状態では、血液が固まってしまうことがあります。全身の血管内に固まりが出来て詰まると、そこからに血液がいきわたらず、非常に危険な状態となります。

そこで、血液凝固因子の働きを抑え、血液凝固のプロセスを止めるためにフサンの投与を行うことになります。

フサンは膵炎と血液凝固という一見全く異なる病気に使用されますが、その理由は病気にプロテアーゼと言う共通の酵素が関与しているからです。もしかすると、他にもプロテアーゼが関係する病気がでてきて、フサンがまた違う使われ方がされるかもしれませんね(たぶん、すでに調べてるとは思うんですが)。
 
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構造式
フサン(メシル酸ナファモスタット)の構造式
フサン(メシル酸ナファモスタット)の構造式

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