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注射用ペニシリンG
(ベンジルペニシリンカリウム)
注射用ペニシリンG(明治製菓、主成分 ベンジルペニシリンカリウム、薬価 20万単位瓶= 166円)は、黄色ブドウ球菌などの細菌によって生じた感染症の治療薬です。

ペニシリンは、黄色ブドウ球菌に対して殺菌作用を示す、青カビ由来の天然物として、フレミングにより1928年に発見されました。ペニシリンの発見は、20世紀の医学を代表する大発見でしたが、この発見は偶然の出来事から起こりました。

フレミングは、黄色ブドウ球菌の培養試験をおこなっていました。この実験の途中で、フレミングは夏休みを取ったのですが、その休暇中、フレミングは、培養していた培養皿をそのまま放置していました。楽しい休暇が終わると、フレミングは実験を再開するために、実験室に放置していた培養皿を片付けることにしました。

たまたま一番上の培養皿を見ると、培養皿はカビだらけでした。培養皿が放置されているあいだに、空気中のカビが培養皿に混入した(コンタミネーション)のです。もちろん、カビだらけの培養皿は使い物にならないので、フレミングは、この培養皿を早速洗おうとしました。そのとき、フレミングは気づきました。

培養皿にはフレミングが培養した黄色ブドウ球菌のほかに、青カビが生えていました。そして、青カビの周りにだけ、黄色ブドウ球菌は生えていませんでした。フレミングは、この培養皿から、『青カビから黄色ブドウ球菌に対して殺菌作用を示す物質が放出されている』ことを見抜きました。

フレミングは、この青カビを培養して、黄色ブドウ球菌に対する殺菌作用を持つ成分を分離し、これにペニシリンと言う名前を付けました。ペニシリンは、1940年代にヒトの感染症に対する治療効果が確認されました。ペニシリン以降、微生物由来の抗生物質が数多く発見され、感染症治療に革命がおこることになりました。

ペニシリンは、「偶然の出来事」と「フレミングの優れた洞察力」から産み出されました。

培養皿が休暇中に放置されていた偶然。
ペニシリンを産生する青カビが、たまたま培養皿に混入した偶然。
フレミングが培養皿を洗おうとしたときに培養皿の表面をたまたま見た偶然。

そして、その偶然の積み重なってできた培養皿をみて、
ペニシリンの存在を推理した、優れた洞察力。

何かを探しているときに、偶然の出来事から、別の価値のある発見をする能力のことを、セレンディピティーといいます。ペニシリンの発見は、セレンディピティーの代表的な例として、広く語り伝えられています。

研究者に取って、セレンディピティーはあこがれの元です。ただ、あこがれているだけではセレンディピティーはやってきません。日頃からの地道な努力、観察力や洞察力の鍛錬があってはじめて、セレンディピティーに出会う権利があるのだと思います。

参考:「創造的発見と偶然」、G.シャピロ著、新関暢一訳、東京化学同人
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注射用ペニシリンG(ベンジルペニシリンカリウム)の構造式
注射用ペニシリンG(ベンジルペニシリンカリウム)の構造式

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