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ベルケイド
(ボルテゾミブ)
ベルケイド(ヤンセンファーマ、主成分ボルテゾミブ、薬価 注射用3mg = 164934円)は、多発性骨髄腫という病気の治療薬として、2006年12月から発売されている薬です。

多発性骨髄腫は死に至る病気であり、薬剤による治療には限界があります。その一方、海外では、近年ベルケイドの多発性骨髄腫に対する効果が確認されました。そのため、日本国内の多発性骨髄腫の患者さんたちは、一刻も早くベルケイドの使用をできるように、訴え続けてきました。そして、やっとベルケイドは発売されることとなりました。

ベルケイドの適応症である多発性骨髄腫とは、がんの一種です。多発性骨髄腫の患者さんの骨髄(骨の中にある、血液細胞や骨の細胞を作るための組織)の細胞は、異常に早い速度で増殖し、多発性骨髄腫に特有の異常なタンパク質を産生して、正常な骨髄細胞の機能を抑えます。

そのため、多発性骨髄腫の患者さんは、骨髄で血液細胞が正常に作られなくなって、貧血、出血しやすくなる、免疫不全などの症状を起こします。また、多発性骨髄腫の患者さんでは、骨を作る細胞の機能が衰えるため、骨が折れやすくなります(骨粗しょう症)。さらに、異常な細胞が作り出す、多発性骨髄腫特有の異常なタンパク質が、腎臓などの臓器の中にたまり、全身の障害を起こします(アミロイドーシス)。

多発性骨髄腫に対しての特効薬は、現在でも発見されていません。古くから、副腎皮質ホルモン(いわゆるステロイド)、抗がん剤、などの、さまざまな薬剤が多発性骨髄腫の治療に用いられてきました。しかし、多発性骨髄腫の治療が進むにつれ、多発性骨髄腫の細胞は、これらの薬に対して、耐性を示すようになります。こうなると治療の余地がなくなるので、多発性骨髄腫の患者さんは、不幸な転帰を迎えることが多くなります。

そのため、多発性骨髄腫に対し、新しいメカニズムで治療効果をもつ薬剤の研究開発が行われてきました。ベルケイドは、このような状況のもとで生まれた薬です。

ベルケイドは、多発性骨髄腫の細胞内にあるプロテアソームと呼ばれる装置の機能を阻害します。プロテアソームとは、構造に異常があるタンパク質や、余分なタンパク質を、分解するための装置です。細胞内にある、異常な構造のタンパク質や、不必要なタンパク質には、ユビキチンという化合物で、印がつけられます。このユビキチンを持つタンパク質は、壊すべき対象としてプロテアソームに運ばれ、分解されます。

がん細胞は細胞増殖速度が、正常細胞に比べて非常に早いので、タンパク質の合成も正常細胞より盛んに行われています。そのため、がん細胞のタンパク質合成の過程では、構造異常のたんぱく質がたくさんできます。この構造異常のたんぱく質が分解されないと、細胞の機能は低下し、最後には死んでしまいます。つまり、ベルケイドは、プロテアソームの機能を阻害して、異常なたんぱく質を増やし、がん細胞を死に追いやる薬なのです。

プロテアソームは正常細胞にもあるので、ベルケイドによって正常細胞が障害を受けることは十分考えられます。実際、ベルケイドには、強い副作用が報告されています。しかし、患者さんにとって、副作用のリスクよりも、病気が改善するというベネフィット(利益)のほうが大きい場合に限り、ベルケイドの使用が認可されることになりました。

このリスク&ベネフィット、薬だけでなく、ヒトの命にかかわるあらゆる行為において、大事な考え方です。心に留めておきたいものです。



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 ベルケイド(ボルテゾミブ)の構造式
ベルケイド(ボルテゾミブ)の構造式


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