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モービック
(メロキシカム)
モービック(第一製薬、主成分 メロキシカム、薬価 10mg 錠 = 60円)は、関節リウマチなどの重い炎症に対する治療薬です。モービックは、関節リウマチの炎症を起こす原因のひとつである、COX(cyclooxygenase,シクロオキシゲナーゼ)という酵素タンパク質の働きを抑えます。COXは、細胞膜にあるアラキドン酸から、炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンを作り出す酵素です。モービックは、COXの働きを抑えることで、プロスタグランジンの量を減らし、関節リウマチによる炎症や痛みを抑えます。このモービックの作用メカニズムは、代表的な解熱鎮痛薬であるアスピリンの作用メカニズムと共通したものです。

モービックやアスピリンのターゲットであるCOXには、COX1、COX2という、2種類の酵素があります(COX3という酵素も知られていますが、その詳細はわかっていません)。モービックやアスピリンは、COX1、COX2いずれの酵素の働きも抑えますが、そのなかでも、モービックはCOX2を抑える働きのほうが、COX1を抑える働きより強いということが実験で示されています。このことを、「モービックはCOX2選択的なCOX阻害薬(COX2阻害薬)である」といい、モービックの広告では、このことが強調されています。

さて、COX2選択的ということで、モービックには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

アスピリンに代表される古いCOX阻害薬には、副作用として、胃潰瘍に代表される消化管からの出血が認められます。これは、COXが作り出すプロスタグランジンが、胃の粘膜を保護する働きを持っているためです。プロスタグランジンが少なくなると、胃粘膜の保護作用が弱くなり、胃が胃酸によって障害を受けるために出血を起こすのです。この胃粘膜保護にかかわるCOXは、COX1であると考えられています。

一方、関節リウマチに代表される炎症の原因となるプロスタグランジンは、主に炎症部位に存在するCOX2により産生されます。モービックやアスピリンが、炎症を抑えるのは、このCOX2を阻害するためだと考えられます。

以上の結果から、COX2の働きを抑え、COX1の働きを抑えないでおけば、胃粘膜が障害を受けず、炎症だけが抑えられる、という仮説が得られます。つまり、消化管への副作用が少なくなる可能性があるのです。モービックが「COX2選択的」を強調しているのは。この仮説によります。

本当に、この仮説は正しいのでしょうか?モービックの添付文書によると、日本人対象の臨床試験では、モービックが消化管障害を起こしにくい、という結果はまだ得られていません。

それでは、COX2選択的だと消化管への副作用がないというのは嘘か?といわれると、そうでもないようです。モービックよりも、もっともっとCOX2選択性が高いCOX2阻害薬が開発され、海外で使用されています。これらの薬の臨床試験では、COX2阻害薬のほうが、古くからのCOX阻害薬より消化管への副作用が少ないことが確認されました。この結果は、お医者さんに歓迎され、COX2阻害薬の売り上げは、うなぎのぼりに上昇しました。海外で、本格的なCOX2阻害薬がデビューしたのは、1999年。以来、COX2阻害薬は、長期にわたって使用されています。

COX2阻害薬、バラ色の薬。のように見えますが、実は落とし穴がありました。強力なCOX2阻害薬であり、高い売上高を記録した、バイオックスという薬があります。数年前、バイオックスを用いて、大腸がんに対する効果をしらべる長期臨床試験が行われました。この試験において、バイオックスを使用したヒトは、使用しなかったヒトに比べて、心筋梗塞などの循環器系の障害がおきやすい、という結果が出たのです。この報告の直後、バイオックスは、製造元のメルク社により回収され、使用停止となりました。

この循環器系への副作用は、COX2阻害薬特有のものである、との見解が多数を占めています。そして、COX2阻害薬は、どんな症状にでも使えばよいというわけではなく、COX2阻害薬の効果が、これら副作用の危険性を上回る、と判断されたときにのみ使用されるべきだという考え方ができつつあります(リスク&ベネフィット)。

日本では、やっとセレブレックス(アステラス、主成分セレコキシブ)というCOX2阻害薬が発売されることになりました。数年前のバラ色の世界が消えつつある現在、セレブレックスがそのような成長を遂げるか、興味深いですね。



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 モービック(メロキシカム) の構造式
モービック(メロキシカム) の構造式


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