プレドニン(プレドニゾロン)とはどんな薬?

プレドニン(塩野義製薬、主成分 プレドニゾロン)は、様々な疾患における過剰な免疫反応を抑制し、強力な抗炎症効果を示し、さまざまな疾患の炎症による症状を改善します。

添付文書に書かれている効能は多岐にわたります。プレドニンは、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ネフローゼ症候群、潰瘍性大腸炎、劇症肝炎、気管支喘息、びまん性間質性肺炎、末梢神経炎などの全身臓器における炎症に対して、治療効果が確認されています。

プレドニンは、合成副腎皮質ホルモン剤というカテゴリーに分類される薬剤です。主成分のプレドニゾロンは、生体内ホルモンである副腎皮質ホルモン(コルチゾール;腎臓の上にある副腎皮質という組織から分泌される物質)と似た化学構造(ステロイド骨格;3つの六角形と、1つの五角形で出来た4つの輪)を持ち、似た薬理効果を示します。合成副腎皮質ホルモン剤は、ステロイド骨格を共通で持つことから、単にステロイドとも呼ばれます。

プレドニゾロンの大きな薬理作用は3つあります。抗炎症作用(炎症を抑える作用)、病的な白血球を破壊する作用、免疫抑制作用です。この中でも、プレドニンが幅広い炎症性疾患で有効性を示す最大の要因は、抗炎症作用です。

プレドニゾロンの強い抗炎症効果は、遺伝子の調節作用を介した作用メカニズムが原因です。プレドニゾロンは、細胞内タンパク質であるグルココルチコイド受容体を活性化させ、さまざまな遺伝子の働きを調節して、多くのタンパク質の合成を増加または抑制させます。炎症に関わる複数のタンパク質についても合成量が一気に変化するので、強い抗炎症効果が得られるのです。

ヒトの疾患を模倣した病態モデル動物でも、プレドニゾロンは、切れ味鋭い有効性を示します。プレドニゾロンは、確実な効果を示すため、抗炎症薬の薬効評価における陽性対照薬(必ず効果を示し、実験の正当性を保証するための薬剤)として使用されます。開発薬剤はプレドニゾロンと同等以上の作用が要求されます。薬を作る立場からは、プレドニンは。「いわば永遠のライバル」とも言えます。

プレドニゾロンの白血球破壊作用は、リンパ球にアポトーシスが起こることで生じます。この性質から、プレドニンの効能には、血液の癌である悪性リンパ腫の治療も含まれます。悪性リンパ腫は、異常リンパ球の増殖が止まらなくなる病気であり、病的細胞の数を減らすことが治療効果に繋がります。

プレドニゾロンの免疫抑制作用は、強い抗炎症作用の原因となりますが、副作用の原因ともなります。免疫抑制作用が強すぎると、細菌などの外敵からの防御という免疫の本来の働きまで損なわれてしまいます。そのため、プレドニンを使用する際には感染症等には注意する必要があります。

一方で、プレドニゾロンは炎症以外の生理作用に関わるタンパク質の合成も調節します。そのため、プレドニンを長期間服用すると、骨や血糖などの調節機能に異常を生じ、骨粗鬆症(骨の密度が低下し、骨折しやすくなる病気)や糖尿病などが発症します。副作用による害を防ぐために、プレドニンを漫然と長期間服用することはできません。医師、薬剤師の指示に従って、きちんと服用することが大切です。

プレドニン(プレドニゾロン)の構造式