ガスモチン| 病院でもらった薬の値段Part2


ガスモチン
(クエン酸モサプリド)
ガスモチン(大日本住友、主成分 クエン酸モサプリド、薬価 2.5mg錠 = 11.4円)は、慢性胃炎の時の胸焼けや食欲不振、吐き気などの症状を抑えるための薬です。

ガスモチンが用いられる慢性胃炎では、胃や腸の動きが低下していて、食べ物が胃から腸へなかなか運ばれません。これが胸焼けや食欲不振、吐き気の原因となっています。

ガスモチンは胃や腸の動きを活発にする作用を持っています。そのため、ガスモチンを飲むことで胃の中の食べ物が速やかに腸へと移動させることができまるので、ガスモチンを飲むと、慢性胃炎の症状が治まる、というわけです。

ガスモチンは、どのようにして胃や腸などの消化管の運動を活発にさせるのでしょうか?

ここで登場するのが、セロトニンという物質と、セロトニン受容体というタンパク質です。体内で作られるセロトニンは、セロトニン受容体にくっつくことで、さまざまなシグナルを生体内に伝えます。このシグナルにより、さまざまな生体反応が起こります。ガスモチンは、このセロトニン受容体に結合することで、セロトニンと同じ働きをするのです。

ガスモチンのターゲットであるセロトニン受容体には、たくさんの種類があって、いままでに10種類以上が見つかっています。それぞれのセロトニン受容体は、体内での存在部位が異なっています。そのため、セロトニンは、全身のいろんな部位で、異なる生体反応を起こすことができます。

ガスモチンが結合するセロトニン受容体は、5HT4受容体と呼ばれています。5HT4受容体は、おもに消化管をコントロールする副交感神経と呼ばれる神経に存在します。

食べ物が胃の中に入ると、副交感神経は、アセチルコリンという物質を分泌します。このアセチルコリンには、消化管にあるムスカリン受容体というタンパク質に結合し、ムスカリン受容体を活性化させて、消化管の筋肉を収縮させ、消化管内の食べ物を移動させる働きがあります。

この副交感神経の働きは、ガスモチンのターゲットである5HT4受容体によってコントロールされています。消化管には、セロトニンを作る細胞が存在し、食べ物の刺激により、この細胞からセロトニンが分泌されます。すると、副交感神経上の5HT4受容体がセロトニンによって活性化され、副交感神経はアセチルコリンを放出し、そのため消化管の運動が活発になる、ということになります。そして、セロトニン同様、ガスモチンは5HT4受容体を活性化して、消化管の運動を活発にするのです。

ガスモチンは、たくさんあるセロトニン受容体の中でも、おもに5HT4受容体に最もよく結合します。そのため、5HT4受容体以外のセロトニン受容体に対する働きは弱くなっています。このガスモチンの性質を、5HT4受容体選択性が高い、といいます。選択性が高い薬は、薬が関係のない受容体に結合して、副作用を起こすことが少ない、という長所があるので、薬作りの現場では、選択性を重視した薬の開発を行っています。


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ガスモチン(クエン酸モサプリド)の構造式
ガスモチン(クエン酸モサプリド)の構造式


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