クレストール| 病院でもらった薬の値段Part2


クレストール
(ロスバスタチンカルシウム)
クレストール(アストラゼネカ、主成分 ロスバスタチンカルシウム、薬価 5mg錠 = 137.3円)は、高脂血症患者の血中コレステロール量を減らし、動脈硬化を起こりにくくするための薬です。クレストールは、肝臓の中にあるコレステロール合成に関与する酵素、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害して、コレステロール合成量を低下させ、血液中のコレステロール量を減らします。

クレストールの主成分、ロスバスタチンという名前には、スタチンという言葉が付いてます。このスタチンというのは、クレストールのような、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害してコレステロールを低下させる薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)に共通して用いられてる接尾語です。そのため、慣れた人なら、主成分が○○スタチンだと聞けば、この薬はHMG-CoA還元酵素阻害薬だ、とピンときます。そこで、一般に、クレストールのようなHMG-CoA還元酵素阻害薬のことをスタチン系薬剤(以下スタチン)と呼びます。

スタチンは、全世界で広く使われており、各製薬会社が熾烈な競争を繰り広げています。ダントツのトップは、リピトール(ファイザー、アステラス、主成分アトルバスタチンカルシウム)です。リピトールは、全世界、そして日本でもっとも多く売れている薬です。

あとはどんぐりの背競べのような状態で、メバロチン(第一三共、主成分プラバスタチン)、リポバス(MSD、主成分シンバスタチン)、ローコール(ノバルティス、主成分フルバスタチンナトリウム)、クレストールなどが2番手を競っています。クレストールは、スタチンの中でも最後発なのですが、それでも2番手争いに食い込み、善戦しています。

クレストールが善戦しているのはなぜでしょう?。

最初の理由は、クレストールのコレステロール低下作用が非常に強力なこと。クレストールがでるまでの最強のスタチンは、リピトールとされていました。リピトールのコレステロール低下作用は、リピトール以前のスタチンに比べて非常に強いので、「スーパースタチン」と呼ばれました。クレストールのコレステロール低下作用は、リピトールと同等であり、スーパースタチンと呼ばれるのにふさわしい薬です。

二番目の理由は、クレストールが、肝臓のHMG-CoA還元酵素を特に強く阻害することが挙げられます。HMG-CoA還元酵素は、体のあちこちの臓器(筋肉、血管など)にもあるのですが、これら全身のHMG-CoA還元酵素を阻害してしまうと、本来ヒトが必要とするコレステロールの生産まで抑えてしまい、体によくありません。
クレストールは、肝臓に取り込まれやすく、肝臓以外の組織では取り込まれにくい性質を持ちます。これは、肝臓にはクレストールを取り込むためのタンパク質(トランスポーター)があり、肝臓以外の組織の細胞にはないからです。一般に、細胞にトランスポーターがない場合は、水に溶けにくい(脂溶性の高い)物質ほど細胞に取り込まれます。しかし、クレストールは他のスタチンにくらべ水に溶けやすい(親水性)物質なので、クレストールは骨や血管の細胞には取り込まれにくいのです。

三番目の理由は、クレストールは、薬の飲み合わせによる悪影響が少ない、という特徴があることです。薬には、一緒に飲んではいけない薬の組み合わせ(飲み合わせ)を持つ薬があります。たとえば、クレストール以外のスタチンには、飲み合わせがあります。クレストール以外のスタチンは、CYP3A4という酵素によって代謝(生体内の薬を変化させて、薬の活性をなくし、無毒化する働き)される薬と一緒に飲むことはできません。

なぜかというと、クレストール以外のスタチンは、CYP3A4によって代謝を受けるからです。

病院で使われる薬には、CYP3A4によって代謝を受ける薬がたくさんあります。CYP3A4によって代謝を受ける薬を一度に2種類飲んだらどうなるでしょう?CYP3A4は、薬を代謝しきれなくなってしまって、薬が体内で余ってしまいます。つまり、体の中の薬の量が増えてしまうことになるので、薬が効きすぎたり、副作用が出たりして、大変まずいことになります。

クレストールは、CYP3A4による代謝を受けません。つまり、クレストールは、飲み合わせの心配が少ない(ないわけではない)という、他のスタチンに対するメリットを持っていることになります。

クレストールは、アストラゼネカが売ってますが、実は日本生まれ(塩野義製薬が発見)の薬です。もともとスタチンのコレステロール低下作用をを発見したのは日本人。しかし、全世界での売り上げを見ると、日本生まれのスタチンであるメバロチン、リバロ、クレストールの売り上げをあわせても、王者リピトールの売り上げには及びません。

とはいっても、王者リピトールも古い薬になりつつあります。ここは日本生まれのクレストールに、ぜひとも、がんばってもらいたいものです。


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クレストール(ロスバスタチンカルシウム)の構造式
クレストール(ロスバスタチンカルシウム)の構造式

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