エンブレル( エタネルセプト)とはどんな薬?

エンブレル(ワイス、武田薬品、主成分 エタネルセプト(遺伝子組換え)は、関節リウマチの治療に使われる薬です。エンブレルの治療効果は強力なので、通常のリウマチ治療薬で十分な治療効果が得られないときに、エンブレルは使われます。

エンブレルは、遺伝子組み換え技術によって作られた分子量が約15000、アミノ酸が934個つながったタンパク質です。エンブレルのように、タンパク質が主成分である薬のことを生物学的製剤と呼んでいます。エンブレルは、関節リウマチのさまざまな症状の原因であるTNFα(腫瘍壊死因子)というタンパク質の働きを抑えることで、関節リウマチを治療します。

それでは、エンブレルとは、どのようにしてTNFαの働きを抑えるのでしょうか?

まずは、TNFαが関節リウマチにどのように関わっているのかを見てみましょう。

TNFαは、生体内で作られるサイトカインと呼ばれるタンパク質の一種です。サイトカインは、免疫系の細胞から分泌されて、炎症や免疫反応を起こす原因となるタンパク質です。TNFαは、白血球から分泌され、外部からの敵(たとえば、微生物)を追い出す(免疫反応)シグナルを伝えるタンパク質です。TNFαは、生体を外敵から守るために必要な、大事なタンパク質です。

しかし、関節リウマチのときには、TNFαは悪役に変身します。関節リウマチの時には、免疫系の細胞になんらかの異常が起こって、外敵がいないのにTNFαがどんどん分泌されます。すると、自分自身の細胞、たとえば関節の細胞、に対する免疫反応が起こります。自分自身の細胞を外敵とみなして攻撃し、関節に炎症がおこり、関節の組織が壊される、、これが関節リウマチの正体です。免疫系の細胞が、自分自身の細胞を攻撃することで起こる病気のことを、自己免疫疾患と呼んでいます。

さて、関節リウマチでTNFαは悪者であるということがわかりました。TNFαの作用を抑えれば、関節リウマチが治療できる、ということです。では、どうやってTNFαの働きを抑えるか。

TNFαが炎症のシグナルを伝えるには、免疫系の細胞の表面にあるTNFα受容体というタンパク質に結合しなければいけません。TNFα受容体にTNFαが結合すると、タンパク質の性質が変化し、炎症を起こすための細胞内へのシグナルのスイッチが入ります。ということは、TNFαとTNF受容体が結合しなければ、炎症を起こすためのシグナルのスイッチは入らず、炎症がおこらなくなると考えられます。

ここでエンブレルが登場します。実は、エンブレルはTNFα受容体を少し変えたタンパク質です。エンブレルは、細胞の外をふわふわ浮いていて、免疫系の細胞から分泌されたTNFαと結合します。すると、TNFαは、本来の目標である、免疫系の細胞の表面にあるTNFα受容体に結合することができません。つまりエンブレムはTNFαによるスイッチを入れないような働きをするのです。これが、エンブレルがTNFαの働きを抑えるメカニズムです。

エンブレルは、抜群の効き目を持つ薬なのですが、やっぱり欠点もあります。

まずは、注射剤しかないということ。エンブレルはタンパク質なので、口から飲むと胃や腸の中で消化されてしまい、エンブレルは体内に吸収されません。そのため、消化を受けないように、エンブレルは皮下注射によって投与されます。普通の飲み薬のような、タンパク質ではない化学物質(低分子化合物)を使って、TNFαとTNFα受容体の結合を邪魔できたらいいのですが、なかなかうまくいきません。TNFαやTNF受容体は巨大な分子なので、これらにくらべ圧倒的に小さい低分子化合物は、TNF?とTNF受容体の結合を邪魔するのには力不足なのです。

クレストールは、CYP3A4による代謝を受けません。つまり、クレストールは、飲み合わせの心配が少ない(ないわけではない)という、他のスタチンに対するメリットを持っていることになります。

そしてもうひとつの欠点は、非常に高価である、ということが挙げられます。エンブレルは一度うてば終わり、という薬ではありません。エンブレルは、何ヶ月にもわたって投与を続ける必要があります。治療費はどんどん膨れ上がっていき、年間で数十万円になるということです。確かに、生物学的製剤は、製造コストが高い(タンパク質を取り出すために複雑な工程が必要、製造までに数ヶ月かかる、などが原因)のですが、この点については、今後製薬会社が努力して、価格が下がるようにがんばらないといけないな、と思います。