テオドール| 病院でもらった薬の値段Part2


テオドール
(テオフィリン)
 テオフィリン(田辺三菱製薬、主成分テオフィリン、薬価 50mg 錠 = 7.6円)は、気管支喘息の治療に用いられる薬です。

 気管支喘息の発作は、何らかの原因(炎症など)で気管支の筋肉が収縮して、気管が狭まることで起こります。テオドールは、気管の筋肉を緩め、気道が狭くならないようにして、喘息の発作を予防します。また、テオドールは、気管が収縮する原因を作り出す、免疫細胞の働き(炎症を起こす物質を作る作用とか)を抑えることで、気管の収縮を予防します。

 それでは、テオドールの作用メカニズムについて、細かく見てみましょう。

 テオドールは、細胞の中にあるサイクリックAMP(cyclic AMP略してcAMP)という物質の量を増やすことで、様々な作用を生じます。

 テオドールによって増える物質、cAMPというのは、細胞内にあるタンパク質のスイッチを入れる働きをもっています。細胞の外から刺激が入ると、これに応じてcAMPが細胞の中で作られます。cAMPは、細胞の中のタンパク質(PKAっていいます)にくっついて、PKAを活性化、つまりスイッチをONにします。

 すると、PKAは、いろんなタンパク質を活性化します。で、PKAによって活性化されたタンパク質は、さらに他のタンパク質を活性化していきます。さらに次のタンパク質を、、、という具合に、ドミノ倒しみたいに細胞の中のタンパク質がどんどん活性化していくのです。

 テオドールによってcAMPが増えると、細胞内のタンパク質が活性化していきます。つまり、気管支の筋肉の収縮をコントロールしているタンパク質に働いて気管支の筋肉を緩めたり、免疫細胞の働きをコントロールしているタンパク質に働いて、免疫細胞の活動を静めたりするのです。

 テオドールがcAMPを増やすのは、テオドールがcAMPを分解する酵素、ホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase略してPDE)の働きを止めるからです。細胞内のcAMPは、普通はPDEによってすみやかに分解されます。これは、cAMPによって入ったスイッチをOFFにするためです。しかし、テオドールによってcAMPの分解が止められると、cAMPの量は、どんどん増えていくのです。このため、テオドールの標的である細胞の働きは亢進し、薬理作用を示すようになります。

 ただし、このcAMPは、さまざまな臓器の細胞に存在して、いろんな生理作用のスイッチを入れる働きを持っています。そのため、テオドールを使うときには、血液中のテオドール量をきちんとコントロールする必要があります。テオドールの量が少なすぎるとテオドールの効果があらわれないし、テオドールの量が多すぎると、過剰なcAMPが様々な臓器のスイッチを入れてしまうので、副作用の原因となるのです。

 例えば、テオドールを飲み忘れたときに、2回分まとめて飲むということは絶対にしてはいけません。これは、テオドールの血液中濃度が高くなり、副作用の原因となるからです。

 また、テオドールと一緒に飲む薬の組み合わせによっては、体内でのテオドールの分解が早くなったり遅くなったりします。これは、テオドールを分解する酵素の働きを高めたり低めたりする薬があるからです。

 ある種の健康食品(セント・ジョーンズ・ワートなど)は、テオドールを分解する酵素の量を増やしてしまいます。すると、テオドールを飲んでもすぐ分解されてしまうので、テオドールの血液中濃度が低くなり、テオドールの作用が現れません。それに対し、テオドールを分解する酵素の働きを低める薬(例えば、心臓の薬ヘルベッサーやうつ病の薬デプロメールなど)は、テオドールの血液中の濃度を高め、副作用の原因となります。

 薬はさじ加減が大事。きちんとお医者さんや薬剤師さんの指示にしたがって、薬を服用するようにしたいものですね。



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テオドール(テオフィリン)の構造式
テオドール(テオフィリン)の構造式

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