テオドール(テオフィリン)とはどんな薬?

テオフィリン(田辺三菱製薬、主成分テオフィリン)は、気管支喘息の治療薬です。気管支喘息では、気管支の炎症に何らかの刺激が加わって気管支の筋肉が収縮し、気管が狭くなって咳や呼吸困難などの症状を示す喘息発作が起こります。主成分のテオフィリンは気管の筋肉を緩め、気道が狭めないようにして喘息発作を予防します。同時に、テオフィリンは免疫細胞の働きを低下させ、気管収縮の原因となる炎症を抑制します。テオドールは薬剤が徐々に放出される徐放剤で、テオフィリンの量を24時間一定に保つことで喘息が起こらないようにコントロールします。

目次

テオドールの作用メカニズム

気管支喘息は、咳や呼吸困難を伴う喘息発作が起こる病気です。喘息の発作は、気管支に炎症が起こり粘液やたんが詰まった状態に、何らかの刺激が加わって気管支の筋肉(気道平滑筋)が収縮することで空気が通りにくくなって起こります。喘息発作が適切に予防できないと、患者さんの日常生活の質を大きく低下します。

喘息の原因から考えると、発作を予防するには、気道の炎症を軽減して刺激を受けても気管支が収縮しないようにする、気道平滑筋の収縮を直接抑制する、の2つの方法があります。

テオドールの主成分であるテオフィリンは、サイクリックAMP(cyclic AMP;cAMP)という物質の量を増やすことで、この2つの方法を両方つかって喘息の発作を予防します。

サイクリックAMPは、細胞外からの刺激を細胞の生理活性につなげる連絡役(セカンドメッセンジャーと呼びます)としての役割を持っています。ある種のホルモンや神経伝達物質などの生理活性物質は、細胞表面の受容体に結合すると細胞内のサイクリックAMP量を増加させます。サイクリックAMPは、生理機能を引き起こすプロテインキナーゼ(タンパク質リン酸化酵素)を活性化することで、細胞にさまざまな作用を引き起こします。

たとえば気道平滑筋では、サイクリックAMPが増加すると筋肉の収縮力が低下し、気管支が緩みます。また、免疫細胞では、サイクリックAMPが増加すると炎症を引き起こす物質の放出が低下したり、炎症を引き起こす白血球(好酸球)に細胞死を引き起こします。

テオフィリンは、サイクリックAMPを分解する酵素タンパク質ホスホジエステラーゼ(Phosphodiesterase)の機能を低下させる作用を持っています。

本来、サイクリックAMPは役目を終えると、生理機能のスイッチをオフにするために、ホスホジエステラーゼにより速やかに分解されます。しかし、テオフィリンが存在するとサイクリックAMPは分解されず。その量は増えていきます。すると、サイクリックAMPが関わる生理機能が増強されます。

喘息の場合だと、テオドールを服用すると、気道平滑筋の収縮力が低下し、炎症が弱まります。テオドールは、喘息に関与するいろいろな細胞が使用しているサイクリックAMPの調節をすることにより、異なる効果を積み重ねて、喘息発作を予防するのです。


テオドールが喘息発作を予防できる理由

テオドールは喘息発作を軽くするための薬ではなく、発作が起こっていない状態で飲み、喘息発作を予防するための薬です。このような薬剤をコントローラー(長期管理薬)とよんでいます。

しかし、喘息発作は不意におこります。そこで、いつ起こるかわからない喘息発作を予防するために、発作が起こっていないときでも、テオフィリンが体内に一定量残るようにする治療方針が取られます。これをRTC療法(round-the-clock therapy;24時間ぶっ通しの意味)とよび、24時間ずっとテオフォリンの血中濃度を治療効果が出る範囲に維持します。テオドールは、RTC療法に使用されています。

テオドール(錠剤、顆粒剤)はいずれも徐放性製剤というタイプの薬剤で、薬剤が非常にゆっくり溶けだします。テオフォリンがすべて溶け出るには、6時間から12時間かかります。普通の薬がせいぜい数時間で溶け切ることを考えると、その遅さがわかるでしょう。

テオドールを服用すると、徐放性製剤からゆっくりかつ長時間溶け出したテオフィリンが、血液中に常に吸収され続けます。そのため、1日1回投与で十分な量の薬剤量が24時間体内に維持され、喘息発作を予防できるのです。

テオドールの副作用

テオフィリンは副作用を起こしやすい薬なので、服用する際には注意が必要です。テオフィリンはサイクリックAMPの量を増やしますが、この物質は全身のいろいろな細胞で生理作用をしめします。そのため、血液中のテオフィリン濃度が高すぎると吐き気、頭痛、痙攣などの副作用(テオフィリン中毒)が起こります。

例えば、テオドールと一緒に飲む薬の組み合わせによっては、体内でのテオドールの分解が遅くなり、テオフィリンの濃度が高くなって副作用が生じやすくなります。自分の飲んでいる薬について医師や薬剤師にきちんと伝えることで、薬の飲み合わせによる副作用は避けられます。


テオドール(テオフィリン)の構造式