ジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)の構造式とはどんな薬?

ジェイゾロフト(ファイザー、主成分塩酸セルトラリン)は、うつ病やパニック障害の治療薬で、脳の神経活動をコントロールするセロトニンという物質の働きを高めて、うつ病やパニック障害の症状を鎮めます。ジェイゾロフトの作用メカニズムは、セロトニン再取り込み阻害作用と呼ばれています。

セロトニンは、神経と神経が向かい合っているシナプスと呼ばれる場所で、神経から神経への信号を連絡する働きをしています。シナプスでは、片方側の神経(シナプス前神経)からセロトニンが分泌され、このセロトニンは、シナプスのもう片方の神経(シナプス後神経)にあるセロトニン受容体というタンパク質に結合します。すると、セロトニン受容体が活性化され、シナプス後神経のスイッチがONになり、神経が活性化されて、いろいろな神経活動が起こるのです。

シナプス後神経スイッチをONにしたセロトニンは、シナプス前細胞に再び取り込まれます(吸収されます)。するとセロトニンの量が減るので、シナプス後神経のスイッチはOFFになります。このようにして、セロトニンは神経のスイッチのON/OFFを調節しています。

ジェイゾロフトは、脳の神経にあるセロトニントランスポーターというタンパク質に結合する性質を持っています。セロトニントランスポーターは、セロトニンをシナプス前神経に取り込ませる働きをもつタンパク質です。ジェイゾロフトは、セロトニントランスポーターの働きを抑え、セロトニンをシナプス前神経に再び取り込ませません(再取り込み阻害)。つまり、ジェイゾロフトはシナプスにあるセロトニンの量を減らさないことで、シナプス後神経のスイッチをONにし続けます。このようにして、ジェイゾロフトは、神経活動を活発化し、うつ病などの症状を改善するのです。

ジェイゾロフトについては、いくつもの臨床試験が行われてきた結果、他の抗うつ薬には見られない特徴があることがわかりました。ジェイゾロフトは、うつ病の治療効果自体はこれまでの抗うつ薬と違いがありません。しかし、うつ病の症状がおさまり、ジェイゾロフトの投与を中止したときに、うつ病が再発しにくいという結果が出たのです。

うつ病の再発は、治療上の大きな問題であることから、ジェイゾロフトの再発防止作用は、大きなセールスポイントになると考えられます。

ジェイゾロフトは、海外では15年以上前から「ゾロフト」という名前で使われていました。日本でゾロフトがジェイゾロフトとして使用できるようになったのは、2006年という、つい最近のことです。ちなみに、ジェイゾロフトのジェイとは「J」、Japan(日本)のJだということです。

海外の薬が日本で使われるようになるには、非常に長い期間がかかります。この現象をドラックラグと呼んでおり、多くの海外の優れた薬が、日本で使われていないという事態になっています。ドラックラグについては、厚生省にも製薬会社の努力によりできるだけ早くこの状態が改善されるよう、切に願いたいと思います。

ジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)の構造式