ガバペン(主成分ガバペンチン)とはどんな薬?

ガバペン(ファイザー、主成分ガバペンチン)は、てんかんの治療に使われる抗てんかん薬です。ガバペンが 処方されるてんかんの患者さんでは、脳の神経活動が異常に興奮して、痙攣や意識を失うなどの発作を起 こすのですが、ガバペンはこれらの症状がおこるのを防ぐ働きを持っています。ガバペンは、古くから用いられている抗てんかん薬が効かないようなてんかんの患者さんに、これらの抗てんかん薬と一緒 に使用されます。

ガバペンは30年以上前に開発された薬です。ガバペンは、もともと脳の中の神経活動を抑制する生体内物質「GABA」(ギャバ)の働きをまねすることを目標に作られました。そのため、ガバペンの構造はGABAの 構造の一部を含んでおり(下の構造式を参照)、ガバペンという名前もこのGABAが元になっています。

ガバペンは様々なてんかんのモデル動物(てんかんに似た症状を人工的に起こした動物)に対して効果を 示すことがわかり、抗けいれん薬としての開発が進みました。ガバペンの臨床試験では、これまでの抗けいれん薬が効かない患者さんに対しても効果を示す優れた薬だということがわかりました。ガバペンは 1993年イギリスで最初に認可されて以来、世界中で使用されるようになり、日本では遅れること10年以上、2006年にようやく使えるようになりました。

この10年のあいだ、海外ではガバペンはてんかん以外の病気にも使われるようになりました。特に、ガバペンには「痛み」を抑える効果を示すことがわかり、帯状疱疹後疼痛や糖尿病性神経障害による痛みなどのこれまでの鎮痛薬では治療が難しかった痛みの治療に用いられています。

さて、このガバペンの作用メカニズムはどうなっているのでしょうか。ガバペンチンの元となったGABAは、神経細胞の表面にあるGABA受容体というタンパク質に結合し、このGABA受容体を活性化することで、神経の活動を静めます。当然、GABAをまねしたガバペンもGABA受容体を活性化して効果を示していると思われたのですが、意外なことに、ガバペンは、このGABA受容体には結合しないことがわかりました。

ガバペンの作用メカニズムは20年近くにわたり探索され、ようやくガバペンの作用メカニズムの鍵となるタンパク質が見つかりました。これは、神経細胞の電気活動をコントロールするカルシウムチャネル(正確には、電位依存性カルシウムチャネルのサブユニット)というたんぱく質です。ガバペンは、神経細胞の表面にあるカルシウムチャネルに結合し、神経活動を抑制すると考えられるようになりました。

ガバペンの作用メカニズムの解明は、新しい薬を見つけるための大きな助けになると考えられました。この情報から、いろいろな化合物について、カルシウムチャネルへの結合を調べることで、ガバペンよりもより強い効果を示す薬を効率よく探す試みが行われました。その結果、リリカ(ファイザー、主成分プレガバリン)という薬剤が開発され、世界中の疼痛で苦しむ患者さんに使われています。

ガバペン(主成分ガバペンチン)の構造式