ドグマチール| 病院でもらった薬の値段Part2


ドグマチール
(スルピリド)
 ドグマチール(アステラス製薬、主成分スルピリド、薬価 100mg錠 = 20.4円)は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療や、統合失調症・うつ病の治療に用いられる薬です。ドグマチールは、神経活動のコントロールに関係するドパミンという物質の働きを抑えることで、多彩な薬理作用を示します。

ドグマチールのターゲットとなるのは、神経細胞の表面にあるタンパク質、ドパミン受容体(の中のD2受容体という種類)です。ドパミンは神経細胞から放出される物質で、他の神経細胞のドパミン受容体に結合し、ドパミン受容体を活性化させることで、神経の働きをコントロールします。

ドグマチールは、D2受容体に強く結合する性質を持っているのですが、D2受容体を活性化させる働きは持っていません。そのため、ドグマチールとドパミンが一緒に存在すると、ドパミンの代わりにドグマチールがD2受容体に結合して、ドパミンがD2受容体に結合するのを邪魔してしまいます。そのため、ドグマチールは、ドパミンが神経をコントロールする働きを邪魔してしまうのです。

ドパミン受容体は胃や腸の神経に存在します。ドパミン受容体は、胃や腸の神経が放出する「アセチルコリン」という物質の分泌量が多くなりすぎないように調節しています(アセチルコリンは、胃の血の巡りをコントロールしたり、胃や腸を運動させる働きを持っています)。ドグマチールは、ドパミン受容体の働きを抑えることで、アセチルコリンの分泌量を増やし、胃への血の巡りをよくして潰瘍の回復を促進したり、胃や腸の運動を高めて食物による傷口の刺激をおさえたりして、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状を改善するのです。

またドパミン受容体は脳の中にも存在します。統合失調症では、脳のドパミン受容体の働きが非常に亢進し、ドパミンによる神経活動が激しくなりすぎて幻覚や幻聴などの症状を引き起こすと考えられています。ドグマチールはドパミン受容体の働きを止めることで、統合失調症の症状を改善させます。

ドグマチールは、胃や腸などにある末梢神経と脳の中枢神経の両方に影響を与えます。そして、ドグマチールの末梢への作用と中枢への作用の使い分けは、ドグマチールの投与量によって決まります。

ドグマチールの投与量が少ないと末梢の神経にだけ働き、投与量を増やすと中枢神経にも働きます。これは、脳と血液の間には脳血液関門というシステムがあって、薬が血液から脳にいきにくくなっているからです。少量のドグマチールでは、脳血液関門に跳ね返されてしまってドグマチールが脳の中に入ることができません。中枢神経でドグマチールを効かせるには大量の投与量が必要になるのです。

脳の働きをコントロールする薬を開発するときは、この脳血液関門について注意を払うことが必要とされています。脳血液関門は薬にとっては大きな障害なのですが、ドグマチールの場合は、本来は脳を外敵からまもるための仕組みである脳血液関門の働きが裏目に出てしまっているのです。


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ドグマチール(主成分スルピリド)の構造式
ドグマチール(主成分スルピリド)の構造式


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