ブルフェン(イブプロフェン)とはどんな薬?

ブルフェン(科研製薬、主成分イブプロフェン)は、さまざまな病気で起こる炎症を抑え、痛みや熱をとるための薬です。ブルフェンは、風邪による発熱、手術やけがによって起きた傷口の炎症、慢性関節リウマチ、神経痛、関節痛など、多くの病気の症状に対して使われます。ブルフェンは、1960年代に開発された歴史のある薬で、子供から大人まで幅広い年齢の患者さんに対して使われている優れた薬です。

ブルフェンは、炎症や発熱の原因となるプロスタグランジンという生体内物質が体内で合成されるのを防ぐ作用を持っています。プロスタグランジンは、細胞の表面を作る膜から得られるアラキドン酸という物質が、シクロオキシゲナーゼという酵素によって変化を受けることで合成されます

ブルフェンは、このシクロオキシゲナーゼの働きを止めることで、プロスタグランジンの合成を止め、炎症による様々な症状を抑えます。このブルフェンの作用メカニズムは、古くから用いられている解熱鎮痛薬アスピリンの作用メカニズムと同じものです。

ブルフェンは、もともと慢性関節リウマチの治療薬として開発されました。ブルフェンができる前は、慢性関節リウマチといえば、アスピリンくらいしかありませんでした。このアスピリンは、胃潰瘍などの消化器系の副作用をもつことから、この副作用が少ない新薬の開発が望まれていました。ブルフェンは、アスピリンのもつ副作用を減らし、アスピリンよりも強い効果を示す薬剤を目指して開発されました。

イギリスの製薬会社の研究員たちは、600個以上の化合物を合成し、動物実験や臨床試験で何度も失敗を繰り返しながらも、地道に新薬開発を続けました。その結果、ブルフェンの主成分であるイブプロフェンという化合物を見つけ出すことができました。イブプロフェンは、アスピリンよりも数十倍少ない投与量で効果を示すことから、アスピリンよりも効果が高く、副作用も少ない優れた薬だと考えられました。イブプロフェンは、慢性関節リウマチだけでなく、炎症によって起こる痛みや発熱にも効果があることがわかったことから、さまざまな病気の患者さんに使われるようになりました。

現在、イブプロフェンは世界80ヵ国以上で使用されています。ブルフェン以外にも、私たちが普段飲んでいる総合感冒薬(風邪薬)のなかにも、イブプロフェンは含まれており、非常に身近な薬となっています。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


ブルフェン(イブプロフェン)の構造式