セファドール(日本新薬、主成分 ジフェニドール塩酸塩)は、「内耳障害によるめまい」を効能とする薬です。めまいには様々な原因がありますが、セファドールは耳の中にある平衡感覚を感知する「内耳」に働きかけ、「内耳の機能異常による平衡感覚の乱れ」である「めまい」を軽くする効果を示します。内耳に働きかけてめまいを押さえるという点では、セファドールは、メリスロン(エーザイ、主成分 ベタヒスチンメシル酸塩)と同じメカニズムを持つ薬です。
耳の鼓膜よりも内側の部分は内耳と呼ばれます。この内耳には、平衡感覚を感知する器官(三半規管、前庭)が存在します。これらの器官は左右の内耳にあるのですが、どちらかの機能が低下し、左右の機能に差が出ると平衡感覚の乱れが生じます。これが内耳です。
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また、セファドールは、前庭から平衡感覚を伝える神経の異常興奮を押さえる作用があります。前庭からの神経入力を調節することも、めまいの症状を抑制するメカニズムの一つとされています。
セファドールが、どのようなタンパク質に作用してめまいを抑制するのかは詳しくはわかっていません。セファドールには、アセチルコリンという物質の作用を押さえる作用(抗コリン作用)があるのですが、これがめまい抑制に直接関与するのかはわかっていません。
一方、この抗コリン作用はセファドールのもつ副作用につながります。アセチルコリンは、唾液の分泌や消化管の運動を調節する作用があります。セファドールをこれらの作用が抑制されるので、口の渇きや食欲不振、胸焼けなどの症状が現れることがあります。
また、アセチルコリンは眼圧(眼球に働く圧力)の調節や排尿を調節する作用があります。これらの機能に異常がある人(たとえば、緑内障や排尿困難)の人がセファドールを服用すると症状が悪化する可能性があります。そのため、これらの病気の方がセファドールを服用される際には、医師や薬剤師からの注意にしたがって使用する必要があります。
[この記事を書いた人]
薬作り職人
国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。
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