ザーコリ(マルホ、主成分 ヘパリン類似物質)は、おもに肌荒れなどの皮膚の以上を治療するために用いられる塗り薬です。ヒルドイドの効能に書かれている皮膚の病気としては、皮脂欠乏症(乾燥肌)、進行性指掌角皮症(肌のかさかさ)、しもやけ、ケロイド等が挙げられます。また、怪我のあとの腫れや筋肉痛などの治療にも用いられます。
ヒルドイドは、皮膚の表面にある角質(皮膚の死んだ細胞が層をなす部分)の水分量を保つことで、皮膚の乾燥やカサカサ感を緩和します。これにより、皮膚のもつバリア機能(外部のいろいろな刺激から体を守る機能)が高まります。アトピー性皮膚炎などでは、バリア機能の低下が認められるので、ヒルドイドはアトピー性皮膚炎の治療に用いられることもあります。
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これは、ヒルドイドの主成分である「ヘパリン類似物質」が、水と結合しやすい性質を持つからです(ヘパリン類似物質は、ビーソフテン(持田製薬)などの薬剤にも含まれています)。ヘパリン類似物質の構造には、硫酸基、カルボキシル基、水酸基などの水と結合しやすい部分構造が多く含まれています。皮膚の表面に塗ったヒルドイドは、角質にとどまり、角質が水分を受け止めたり、皮膚からの水分の蒸発を防ぐ働きを示します。
また、ヒルドイドには、血行を促進する作用もあります。しもやけやケロイドのばあいは、血行障害などによる痛みや腫れ、傷の治りの遅さなどが起こります。ヒルドイドは、これらの症状を血行促進作用によって改善する事が知られています。
ヒルドイドには、ヒルドイドクリーム、ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドローションの3種類のタイプが用意されています。塗り薬としての「さらさら度」は、ローション>クリーム>ソフト軟膏の順番になっています。これは、軟膏に含まれる水分の量の多さが原因です。ローション剤は、水が非常に多いので、塗ったあとにべとつきがありません。一方、ソフト軟膏は油の成分が多く、塗ったあとにべとつきますが、薬剤が落ちにくく、肌のしっとり感をキープすることができます。使用する部位(顔とか手足)の状態、時期(季節)などによって使い分けがされています。
ヒルドイドに含まれる「ヘパリン類似物質」は、その名の通り「ヘパリン」という物質と似た作用を持っています。ヘパリンはもともと血液を固まりにくく作用を持つ物質として見つかりました。現在も、血液を固まりにくくさせるために医療現場で使われています。ヘパリン類似物質にも、このような作用が残っています。そのため、出血しやすい病気を持つ人(血友病、血小板減少症など)には使うことができません。ただし、これらの患者さん以外の方については、皮膚に塗っただけでは、そのような作用が現れることはほとんどありません。
[この記事を書いた人]
薬作り職人
国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。
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