ランマーク(デノスマブ)とはどんな薬?

ランマーク(第一三共、主成分 デノスマブ)は、癌の骨転移や、多発性骨髄腫でおこる骨破壊の治療薬です。これらの病気では、骨を壊す細胞である破骨細胞の数が増えたり活性化することで骨が溶かされ、骨がもろくなって骨折しやすくなったり痛みを感じます。

ランマークは、破骨細胞を増やしたり生存を維持するためのタンパク質であるRANKLという分子の機能を低下させて破骨細胞の数を減らし、骨の破壊による症状の進行を止め改善させます。

がん細胞はさまざまな臓器に影響を与えますが、骨にできた癌は骨を破壊してもろくします。これを癌による骨病変と呼びます。骨病変は生命機能には影響を与えませんが、骨がもろくなると骨折のリスクが上昇したり、骨に強い痛みを感じるため、患者さんの生活の質が低下します。そのため、ランマークなどの薬剤を用いた薬物治療が行われます。

ランマークは、骨破壊を引き起こす破骨細胞の数を減らしたり機能を低下させて、骨病変による症状の進行を抑制します。

骨でおこる癌の例として、他臓器からの転移や多発性骨髄種(免疫細胞の一種である形質細胞が癌化した血液がんで、骨髄でがん細胞が増殖します)が挙げられます。がん細胞は、サイトカインという生理活性物質を大量に放出し、サイトカインは骨を作る骨芽細胞に作用して、ランマークの標的分子であるRANKL(receptor activator for nuclear factor-κB ligandの略)というタンパク質を分泌させます。

RANKLは、骨を壊す役割を持つ破骨細胞の数を増やしたり、生存を維持させるための分子です。

破骨細胞は、もともとは白血球の一種である単核球が変化してできる細胞です(変化する過程を「分化」といいます)。RANKLは、単核球が破骨細胞に分化する引き金となる刺激を与える分子です。また、破骨細胞の生存にも必要なタンパク質でもあります。

したがって、RANKLの機能を低下させる分子は、破骨細胞への分化をとめたり生存維持機能を低下させて、破骨細胞の数を減らし、骨破壊の機能を低下させると考えられます。このアイデアから見出された薬剤がランマークです。

ランマークの主成分であるデノスマブは、抗RANKLモノクローナル抗体と呼ばれる分子で、RANKL に選択的に強く結合します。RANKLが機能するには、破骨細胞や単核球の表面にあるRANKというタンパクに結合する必要がありますが、デノスマブと結合したRANKLはRANKに結合できなくなります。

そのため、ランマークを投与された患者さんの骨では、単核球から破骨細胞への分化が止まったり、破骨細胞の生存維持ができなくなって細胞死が起こります。これらの効果により、骨における破骨細胞の働きが弱まって、癌に伴う骨破壊が抑制されます。

タンパク質であるデノスマブは胃や腸で消化されるので、飲み薬として投与することはできません。そこでランマークは4週間に1回の皮下注射として投与されます。一ヶ月に一度の服用で良い、というのは、治療薬としてメリットを持つと考えられます。

破骨細胞の働きを止めて骨破壊を止めるというアプローチは、高齢者に多い骨粗鬆症の治療にも繋がります。デノスマブを骨粗鬆症に用いる試みも行われ、骨粗鬆症治療薬としてはプラリアという商品名で販売されています。