ゾリンザ(ボリノスタット) 薬の豆知識
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ゾリンザ| 病院でもらった薬の値段Part3

ゾリンザ

ボリノスタット


ゾリンザ(MSD、主成分 ボリノスタット、薬価 100mgカプセル = 5462.8円)は、皮膚T細胞性リンパ腫という悪性リンパ腫(血液のがん)の治療に用いられる治療薬です。皮膚T細胞性リンパ腫は、免疫機能を担当するリンパ系細胞のうちT細胞に異常が生じ、かつその異常が皮膚に現れるものを指しています。症状としては、皮膚の腫瘍、臓器への浸潤、感染症などがあります。

皮膚T細胞性リンパ腫の患者さんは、悪性リンパ腫患者さんの中でも非常に少なく、治療薬を開発するための臨床試験がなされにくい状況でした。このような患者さんが少ない病気に対して用いられるゾリンザのような治療薬をオーファンドラッグと呼んでいます(オーファンとは「孤児」の意味で、患者数が少なく採算性に問題があり、開発が見捨てられていることを表しています)。

オーファンドラッグ開発のための支援政策が整備されているアメリカにおいては、オーファンドラッグの開発が活発に行われています。ゾリンザは、アメリカのメルク社で開発され、2006年10月にアメリカで承認されました。日本での臨床試験は、ゾリンザのアメリカ承認の後に開始され、2011年7月に日本でも承認を受けることができました。

ゾリンザは、がん細胞に存在するヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase:HDAC)の働きを抑制する作用を持ちます。HDACは、遺伝子の働きをコントロールする転写因子やヒストンというタンパク質を変化させる(これらのタンパク質のリジン残基からアセチル基を取り除く)役割を持ちます。この変化(ヒストンの脱アセチル化)は、遺伝子の周りに存在するクロマチン構造をガチガチにかためてしまうので、遺伝子の作用(遺伝子がコードしているタンパク質の合成)が起こりにくくなります。

HDACにより、作用が低下する遺伝子には、がん抑制遺伝子も含まれます。がん抑制遺伝子は、がん細胞のアポトーシス(細胞の自殺)を引き起こします。がん抑制遺伝子の働きが低下すると、がん細胞の増殖に有利な条件が起こります。

ゾリンザがターゲットとしているのは、がん抑制遺伝子の作用を低下させているHDACです。ゾリンザはHDACの働きを抑制するので、ゾリンザを服用するとがん抑制遺伝子の働きが増加します。すると、がん細胞の増殖が抑制され、治療効果が現われるというわけです。

ゾリンザは世界初のHDAC阻害薬であり、今後、ゾリンザを改良した様々なHDAC阻害薬の登場が期待されます。HDACはがん以外の病気においても、原因の一角を担う可能性が指摘されています。しかしHDACには多くの種類があり、正常な細胞機能に関与するHDACもあります。そのため、病気の細胞のHDACを選択的に阻害する化合物をつくることは、なかなか難しいのではないかとも思います。



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ゾリンザの主成分、 ボリノスタットの構造式

ゾリンザの主成分、 ボリノスタットの構造式

 


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