メマリー(メマンチン塩酸塩) 薬の豆知識

メマリー| 病院でもらった薬の値段Part3

メマリー

メマンチン塩酸塩)


メマリー(第一三共、主成分 メマンチン塩酸塩、薬価 20mg錠 = 427.5円)は、アルツハイマー病の患者さんに用いられる薬です。メマリーは、アルツハイマー病における中等度および高度の認知症症状を示す人に用いられ、アルツハイマー病の進行を抑制する効果を示します。

アルツハイマー病は、大脳の神経細胞が何らかの原因で死んでしまうことにより、脳の記憶・認知機能が低下する病気です。アルツハイマー病において神経細胞が死ぬ原因がわかっていない、死んでしまった神経細胞を補うだけの新しい神経細胞を生み出す手法が未だ開発されていない、などのことから、アルツハイマー病を根本的に治療し、低下した認知機能を回復させる薬は今のところありません(残念ながら、メマリーも、このような薬剤ではありません)。

アルツハイマー病治療薬の新薬開発は多くの企業で進められているのですが、研究の難しさは新薬開発の中でもトップクラスのものです。そんな中、1990年代後半から、アルツハイマー病の記憶障害の進行速度を低下させる薬剤が、臨床で用いられるようになりました。メマリーは、そんな薬の中の一つです。

メマリーは、神経細胞に障害を起こす原因となる「NMDA受容体」というタンパク質の働きを抑制する効果を持っています。

NMDA受容体は、神経細胞表面にあるタンパク質です。細胞外のグルタミン酸がNMDA受容体に結合すると、細胞の外から中にトンネルのような通路を作り(これをチャネルと呼びます)、チャネルを通じてカルシウムなどの陽イオンを流入させます。カルシウムが過剰に細胞内に流入すると、神経細胞の機能が乱れて、神経障害が起こります。

アルツハイマー病患者の神経細胞では、NMDA受容体の異常な活性化が起こると考えられています。メマリーはNMDA受容体に結合して、NMDA受容体の異常な活性化を抑制します。この作用により、メマリーはカルシウム細胞内流入によって起こる細胞障害を抑制します。この作用が、アルツハイマー病の症状進行を抑制すると考えられています。

メマリーは、神経細胞障害の抑制作用はありますが、障害を受けて死んでしまった細胞を復活させることはできません。また、メマリーは神経障害の原因をすべて取り除くわけでもありません。そのため、メマリーは、アルツハイマー病の進行を完全に止めることはできません。

現在、アルツハイマー病治療薬としては、アリセプト(エーザイ、主成分ドネペジル塩酸塩)などのコリンエステラーゼ阻害剤というタイプの治療薬が用いられています。コリンエステラーゼ阻害剤は、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質の量を増やし、脳機能を活性化させます。この薬剤も、メマリーと同様に症状の進行を遅らせることはできますが、アルツハイマー病の進行を完全に止めることはできません。

メマリー、コリンエステラーゼ阻害剤に続く薬剤が世の中に出るのは、まだまだ先のことだと思われます。薬剤開発には、アルツハイマー病の早期発見、発症メカニズム解析、などに必要な基礎研究の進展が必要です。



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 メマリーの主成分(メマンチン塩酸塩)の構造式
メマリーの主成分(メマンチン塩酸塩)の構造式

 


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