コレアジン(テトラベナジン)とはどんな薬?

コレアジン(アルフレッサ ファーマ、主成分テトラベナジン)は、ハンチントン舞踏病という病気に特徴的な症状「舞踏運動」に対する治療薬です。この疾患では、ハンチンチンという遺伝子の異常によって、脳に萎縮などの病的な変化が起こり、精神機能や運動機能が低下します。

ハンチントン舞踏病の名前の由来となる症状として、自分の意志とは無関係に顔をしかめたりや手足が動いてしまう「舞踏運動」が挙げられます。患者さんにとって、舞踏運動は日常生活のさまざまな動作の妨げとなります。また、病気が進行すると、患者は介助なしに日常生活を送ることが難しくなります。コレアジンは、この舞踏症状を抑制するために使用する薬剤です。

舞踏運動が生じるメカニズムについては、よくわかっていません。ただ、身体の運動は神経活動の結果として生じるので、過剰な神経活動を抑制すれば症状を抑制できると考えられます。

コレアジンは、舞踏運動に関与する神経伝達物質の放出量を減らします。神経伝達物質は、神経間の信号伝達に用いられる生体内物質です。一方の神経細胞から放出された神経伝達物質は、他方の神経細胞を活性化(もしくは抑制)することで、脳でのさまざまな情報に関する信号を伝達するのです。

神経伝達物質が細胞外に放出されるには、シナプス前小胞という袋に注入されなくてはいけません。モノアミンと呼ばれるタイプ神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)は、モノアミン小胞トランスポーターというタンパク質によって、シナプス前小胞に注入されます。

コレアジンは、モノアミン小胞トランスポーターの働きを止め、シナプス前小胞に神経伝達物質が入らないようにします。神経伝達物質が、放出用の入れ物の中に詰め込まれないので、神経伝達物質は細胞外に放出されません。すると、神経間の信号伝達が起こりにくくなり、その結果、舞踏運動も弱まるというわけです。

コレアジンは、舞踏運動を弱めることはできますが、ハンチントン舞踏病の根本的な原因である神経変性や神経細胞死を止める効果はありません。したがって、病気の進行を止めることもできません。原因療法薬の開発には、今後の基礎研究の進展が必要です。

コレアジン(テトラベナジン)の構造式