トビエース(フェソテロジンフマル酸塩)とはどんな薬?

トビエース(ファイザー、主成分フェソテロジンフマル酸塩)は、膀胱の活動が異常に高まった状態である過活動膀胱の治療薬です。

過活動膀胱では、急にトイレに行きたくなる(尿意切迫感)、トイレに行く回数が増える(頻尿)などの症状が起こります。トビエースの主成分であるフェソテロジンは、排尿を調節するアセチルコリンという生体内物質の働きを弱め、膀胱の収縮を弱めて過活動膀胱の症状を改善します。

トビエースは、同じ作用メカニズムを持つデトルシトールを使いやすく改良した薬です。

薬価=薬の値段

トビエース錠の薬価(2019年3月現在)

過活動膀胱は、膀胱の活動が過剰に亢進して尿意が増したり(尿意切迫感)、トイレの回数が増える(頻尿)状態です。

「膀胱の中に尿がある」ことを知覚神経が脳に伝えると尿意が起こり、副交感神経が膀胱を収縮させて尿を体外に排出します(排尿)。

過活動膀胱では、尿意から膀胱収縮までの過程が必要以上に活性化してトイレに行く回数が増えます。特に、夜間の頻尿は睡眠不足や転倒の原因になり、生活の質を大きく下げます。そのため、トビエースのような薬剤での治療が必要です。

トビエースは、排尿を調節する生体内物質「アセチルコリン」の働きを抑制し、膀胱収縮を弱めて過活動膀胱の症状を改善します。

アセチルコリンは、副交感神経から分泌され、膀胱の筋肉(膀胱平滑筋)表面のムスカリン受容体(M3受容体)を活性化して、膀胱平滑筋を収縮させます。トビエースは、アセチルコリンがM3受容体に結合できなくして膀胱収縮を防ぎ、排尿しにくくさせます。このような薬を抗コリン薬と呼びます。

また、膀胱表面の上皮細胞が分泌するアセチルコリンは、ムスカリン受容体(M2受容体)を活性化して、膀胱平滑筋の収縮力を高めます。トビエースは、このアセチルコリンの働きも止め、膀胱に尿が溜まりやすくして過活動膀胱の症状を改善します。

ムスカリン受容体は、唾液腺や消化管などさまざまな臓器にあるので、抗コリン薬は全身性の副作用をおこします。特に、唾液腺の機能を低下させて起こる口の渇き(口渇)は生活の質を大きく下げます。しかし、トビエースは膀胱により強く作用する性質を持つので、口渇が起こりにくいとされています(全くなくなるわけではありません)。

実は、トビエースの主成分であるフェソテロジン自体はアセチルコリンの作用をほとんど止めません。薬効を示すのは、フェソテロジンが体内で変化した5-ヒドロキシメチルトルテロジン(5-HMT)という物質です。

5HMTはM3受容体やM2受容体に結合し、アセチルコリンの働きを邪魔します。トビエースにおけるフェソテロジンのように、体内に入って活性を持つ物質に変化し薬効を示す薬をプロドラッグと呼び、生理活性を持つ5-HMTを活性代謝物と呼びます。

5-HMTは、同じ抗コリン薬でプロドラッグであるトルテロジンの活性代謝物でもあります。実は、主成分がトルテロジンであるデトルシトールは、大量に投与すると心臓の脈を乱す(不整脈)を起こすリスクがあり、投与量に制限がありました。

この副作用は、5-HMTではなくトルテロジンが原因であることがわかったことから、心臓への副作用リスクを持たないプロドラッグを目標として開発されたのがトビエースです。フェソテロジンは心臓への作用が低くなるよう改良された薬剤なので、副作用リスクがなく使いやすい薬となっています。


トビエース(フェソテロジンフマル酸塩) の構造式