デザレックス(デスロラタジン)とはどんな薬?

デザレックス(MSD、科研製薬、杏林製薬、主成分デスロラタジン)は、アレルギー性鼻炎・蕁麻疹、湿疹や皮膚炎などで起こるかゆみ(そう痒)の治療薬です。

アレルギー反応や皮膚炎では、免疫細胞から放出されるヒスタミンが、炎症による症状(鼻水、水ぶくれ)やかゆみを起こします。デザレックスの主成分であるデスロラタジンは、ヒスタミンの作用を低下させて、アレルギー反応による症状やかゆみを和らげます。

デザレックスは、同じメカニズムを持つクラリチンという薬を改良版で、クラリチンの弱点をなくしつつ、「眠気が少ない」という長所を引き継いでいます。

薬価=薬の値段

デザレックス錠の薬価(2019年3月現在)

目次

デザレックスの作用メカニズム

アレルギー反応は、生体にとって無害な物質(花粉やハウスダスト)を免疫システムが異物と認識し、生体防御のために反応する状態です。特に花粉症は、多くの人にアレルギー反応による、鼻水、くしゃみ、かゆみなどの不快な症状を起こします。これらの症状は、デザレックスのような薬剤でコントロールできます。

アレルギーの原因物質(アレルゲン)が、監視役であるIgEというタンパク質に結合すると、IgEは肥満細胞(マスト細胞)という免疫細胞を活性化させ、ヒスタミンなその炎症を引き起こす物質(ケミカルメディエーター)を放出させます。デザレックスの主成分であるデスロラタジンは、ヒスタミンの生理作用を低下させ、アレルギー反応による症状を改善します。

ヒスタミンが、血管や神経の細胞表面にあるヒスタミン受容体(H1受容体)というタンパク質に結合すると、さまざまな生理反応がおきます。例えば、血管の壁を水が通りやすくなり、鼻水やじんましんの水ぶくれ(浮腫)が起きます。また、神経では強いかゆみを起こします。痒みを取るために掻くと、皮膚が傷ついて炎症がおき(掻爬(そうは)といいます)、ますますかゆくなります。

デスロラタジンは、H1受容体に結合し、血管や神経に対するヒスタミンの作用を邪魔します(このような薬剤を抗ヒスタミン薬といいます。その結果、デザレックスを服用すると、鼻水・水ぶくれ・かゆみなどの症状がおさまるのです。


デザレックスとクラリチンの違い

デザレックスは、同じ抗ヒスタミン薬であるクラリチン(主成分ロラタジン)を改良した薬です。クラリチンは、抗ヒスタミン薬の副作用である眠気が少なく、使いやすい薬です(参考記事:クラリチンとはどんな薬?)が欠点もありました。改良版であるデザレックスでは、それらの弱点が改善されています。

クラリチンとデザレックスの違いは、大きく2つあります。

まず、クラリチンは、人により薬剤の効果が変わる可能性がありました。これは、主成分であるロラタジンは、生体内でCYP3A4やCYP2D6(CYP;cytochrome P450)という酵素タンパク質により抗ヒスタミン作用を持つデスロラタジンに変換されて効果を示すからです。このようなCYPの作用を薬物代謝といい、デスロラタジンのように薬物代謝により生理活性が生じる化合物を活性代謝物とよびます。

CYPの機能や量には個人差があるので、ロラタジン服用後のデスロラタジンの量もばらつき、効果に違いがでる可能性がありました。デザレックスは、ロラタジンの活性代謝物であるデスロラタジンそのものを薬剤にすることで、この弱点を解決しました。

デスロラタジンは、CYPでの薬物代謝を受けません。そのため、デザレックスの場合は服用した薬剤がそのまま効果を示します。薬剤の効果を示す化合物は、クラリチンもデザレックスも同じデスロラタジンなので、眠気が少ないというクラリチンの長所はデザレックスでも引き継がれます。

また、クラリチンは1日1回食後投与ですが、デザレックスは食前・食後を問わず1日1回の服用で問題ありません。これは、クラリチンは食前に飲むと薬剤の吸収が悪くなり、効果が弱くなるからです。デザレックスは、食前・食後で薬剤の吸収は変わりません。

この吸収の違いは、ロラタジンとデスロラタジンの吸収性の違いが原因です。小さなことに見えますが、患者さんにとっては飲むタイミングを気にしなくて良いというのは、大きなメリットです。

このように、デザレックスはクラリチンの欠点を改良した、より良い薬となっています。


デザレックス(デスロラタジン)の構造式